なぜ? 批判続出した愛知大会決勝14時開始のワケ…県高野連「すべて熱中症対策」
スポニチアネックス / 2024年7月28日 20時46分
◇第106回全国高校野球選手権 中京大中京7-3東邦(2024年7月28日 岡崎レッドダイヤモンドスタジアム)
全国最多173チームが参加した愛知大会は中京大中京が7年ぶり、29度目の夏切符をつかみ、幕を閉じた。
愛知大会決勝は中京大中京と東邦の名門対決ということもあり、注目を集めたが、何よりも話題となったのが試合開始時間だった。
28日は全国10都府県で決勝が行われ、大阪や兵庫、西東京などほとんどの地域で午前10時プレーボールだったにもかかわらず、愛知の決勝は午後2時(14時)だった。
インターネット上では「なんで愛知だけ決勝が1番暑そうな14時からなのか」「愛知大会決勝、この酷暑に14時開始とか、どういう事情なんだろ。皆さん、体調崩されませんように」「こんな暑いのになんで愛知だけ14時スタートなんだよ選手かわいそうやろ」と批判めいた声が多く見られた。
確かに球場のある岡崎市のこの日の最高気温は午後1時に計測した38度。熱中症を心配する声が出るのもうなずける。
そこで愛知県高野連の鶴田賀宣理事長に午後2時開催の理由を尋ねた。
愛知県高野連では、7月上旬~8月上旬の1カ月間の暑さ指数(WBGT)を中京大スポーツ科学部の松本孝朗教授に岡崎レッドダイヤモンドスタジアム、小牧市民球場、パロマ瑞穂野球場の3球場で測定してもらっているという。
その結果、「必ずしも危険な数値が午後ではなかった」と鶴田理事長は言う。実際にデータを見ると、決勝が行われた岡崎レッドダイヤモンドスタジアムは午前の方が危険な数値が多かった。
また、WBGTを測定する前に他府県同様、午前10時プレーボールで決勝を開催した年もあったという。ただ、試合終盤を迎える12時台、13時台にスタンドで観戦する生徒が多数、熱中症の症状を訴えたそうだ。
そういった過去の経緯やWBGTの測定結果を踏まえ、「選手にもお客様にも危険と判断しました」と午後2時開催に至ったという。
午前10時開催の場合、渋滞などを考慮し「選手たちが午前5時頃に起きるケースもある。準決勝までの疲れもたまっている。朝、ゆっくり寝て食事もゆっくりして球場に来てもらえる」と決勝を戦う選手たちにとって午後2時開催のメリットもあると説明。午後2時開催にすることで、閉会式は午後5時頃のやや涼しくなる時間に行うこともできる。
もちろん疑問も残る。選手ファーストで午後2時開催にすると、応援団や保護者ら観客は最も暑い12時、午後1時台に球場に集まることになる。
そこで、愛知県高野連では数年前から内野席の前売り券をインターネットで販売開始。今年も約4000枚がネット上では2日前の時点で完売。もちろん当日券を求める列はできたそうだが、大きな混乱はなかったという。
さらに、今年は試合開始5時間以上も前の午前8時30分に球場を開門。「再入場可能なので、スタンドに荷物を置いて食事に出かけたり、車の中で涼を取ってもらえた」と鶴田理事長。観客にもできるだけ負担の少ない方法を選択した。
実際にこの日、熱中症の症状で医務室に運ばれたのは2人だけで、救急搬送された人はいなかった。
午後2時プレーボールについて、鶴田理事長は「すべて熱中症対策」とし、来年以降も同様の予定とした。
日本高野連は今夏の第106回全国高校野球選手権大会(8月7日から17日間)から一部日程で試合開始時間を午前と夕方に分ける「2部制」を導入する。対象日は1日の試合数が3試合の第1日から第3日までで、熱中症対策の一環として大会史上初めて実施される。
猛暑日が続出し、異常な暑さが続く近年の夏。もちろん、愛知県高野連の「午後2時プレーボール」が必ずしも正解ではなく、その地域、その球場の特性なども考慮して試合開始時間を決める必要性があると言える。
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