神セーブ連発のサッカー小久保 “しくじり先生”から「国防ブライアン」になれたワケは

サッカー男子＜日本・マリ＞開幕2連勝での決勝T進出を喜ぶGK小久保（上）（撮影・岡田　丈靖）

　◇パリ五輪第2日　サッカー男子1次リーグ　日本1－0マリ（2024年7月27日　ボルドー競技場 ）

　男子1次リーグD組の日本は27日、第2戦でマリを1―0で下し2連勝。同組2位以上を確定させて8強による決勝トーナメント進出を決めた。GK小久保玲央ブライアン（23＝シントトロイデン）が神セーブを連発して2試合連続完封。MF山本理仁（22＝同）が後半37分に2戦連発となる決勝点を決めた。日本がオーバーエージ（OA）枠不在で1次リーグ突破をするのは初めて。首位通過を目指し、最終第3戦イスラエル戦（30日、ナント）に臨む。

　勝利を決定づけるPK失敗を誘発した小久保は大きく跳びはねながら雄叫びを上げた。視線の先には日本代表ベンチ。「チームを守りたかった。自分の後ろには味方がいつもいてくれる。入る気はしなかった」

　1点リードの後半47分、VARで味方がハンドの反則を取られPK。同点の危機にも守護神は動じず。蹴る方向を読み切り、打たれた瞬間に右へ跳んで相手のミスを誘った。前半11分と後半18分にも決定機を阻止。パリ五輪後のA代表入り待望論も浮上してきたが、これまでの道のりは平たんではなかった。

　昨年9月のU―23アジア杯予選時。寝坊など“緩さ”が目立ち、首脳陣の逆鱗（げきりん）に触れた。10、11月の活動に招集されず、実質的な代表追放だった。それを救ってくれたのが、当時所属のベンフィカと大岩ジャパンのスタッフだった。

　ベンフィカのBチームで試合に出続け、トップチームの練習にも同行。アルゼンチン代表ディマリアら名手のシュートを受け続ける日々は緊張感の連続だった。緩む暇がなく、生活習慣が改善された。また今年3月に“みそぎ”が終わって代表復帰を果たした後は、浜野GKコーチがオフ期間とパリ五輪合宿前の自主トレに付き合ってくれた。自覚と期待が人間的な成長を促し、今では複数の目覚まし時計を用意して朝が苦手な選手を起こしにいくまでになった。

　“しくじり先生”が、ネットを中心に「“国防”ブライアン」と絶賛されるなど、夢舞台で成長した姿を見せつけた。「歴史を塗り替えようと話していた。結果が出てうれしい」。連続完封も1次リーグ突破も通過点。56年ぶりのメダルまで大岩ジャパンのゴールを守り続ける。

　◇小久保　玲央ブライアン（こくぼ・れおぶらいあん）2001年（平13）1月23日生まれ、千葉県出身の23歳。柏U―15から柏U―18に昇格。18年にトップチームで出場可能となる2種登録されたが出場機会なし。19年にポルトガル1部ベンフィカに加入し、U―23チームを中心にプレー。今季からベルギー1部シントトロイデンに移籍。各世代別で日本代表入り。1メートル93、89キロ。利き足は右。