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GOOD BYE APRIL 9年前にデビューが白紙…気鋭AORバンド、異色の軌跡と音楽性とは

スポニチアネックス / 2024年7月30日 18時1分

「GOOD BYE APRIL」の(前列左から時計回りに)延本文音、倉品翔、吉田卓史、つのけん

 【ききみみ 音楽ハンター】ボーカル&ギター&キーボード倉品翔(33)、ギター吉田卓史(35)、ベース延本文音(35)、ドラムつのけん(34)による「GOOD BYE APRIL」はいろんな意味で“異色”のバンドだ。楽曲を主に手掛ける倉品と延本がこのほど、大阪市内でスポニチのインタビューに応じ、「浮き続けてきた」というバンドの軌跡と音楽性についてじっくり語った。

 昭和のニューミュージックを想起させるグッド・メロディーやサウンド、倉品のソフトな歌声。その楽曲に昭和世代は懐かしさ、若者は新鮮さを感じるだろう。倉品は母がファンクラブ会員だったという「チューリップ」、父が車中でかける山下達郎を聴いて育ち、深く自身にしみついた。他のメンバーも、どんなジャンルを聴こうがきれいなメロディーに惹かれてきた。そんなルーツが今の音楽性に色濃く反映されている。

 だが、最初から“ジャパニーズAOR”を奏でていたわけじゃない。14歳からレコード会社の育成メンバーだった倉品を中心に、デビューを見すえ2011年に集められた4人。14年にメジャーデビューが決まったが、レコード会社が買収され、計画は残酷にも白紙となった。

 「デビューが流れてさあどうしよう、って時に見つめ直したんですよね」と倉品。延本も「ちょっと無理してるなって感覚はありました。手詰まりな感じというか」と回想。当時の彼らはギターロックバンドだった。

 「手あげろ!」が言えないロックバンドだった、と自虐する。「全員、陰キャ」と明かす倉品に延本もうなずき、「やっぱロックバンドって、ファンを引っ張ってやるぞ!付いてこい!みたいな強引さやカリスマ性がないと。私たち結構柔らかいタイプの人間なんで、できないんですよね」と苦笑いした。

 「もっと自分たちに合うスタイルがあるはず」と考えた倉品は、幼少期から親しんできた古き良きジャパニーズポップスへの回帰を決意。延本らも「4人がやりたいのはやっぱり美しい旋律の音楽だよね」と共感した。16年に発売したアルバム「ニューフォークロア」で一気に方向転換し、現在のスタイルへと変ぼうを遂げた。

 当時は「Suchmos」や「Nulbarich」などが登場しシティポップ・リバイバルの兆しはあったが、あくまでオシャレでグルーヴィーな洋楽寄り。邦楽テイストにあふれるGOOD BYE APRILは、そのカテゴリーから少々外れていた。倉品は「ライブハウスで共演しためっちゃトガッたロックバンドから、“君たちトガッてるねえ”って言われた」と振り返り、「ずっと浮いてる存在でした」と笑った。

 だが、ここへ来て80年代のアイドル曲やジャパニーズポップスが世界中から再評価され、若者に当時のアナログ盤が売れる時代に。この追い風を受け、幻のデビューから9年経った昨年春、ついにデビューを勝ち取った。遅咲きながら、シティポップの巨匠・林哲司氏のプロデュースで華々しくメジャーシーンへ。音楽の独自性と同様、長い潜伏期間を経た歴史も無二の個性だ。

 今年は韓国でも公演を行い、世界のシティポップブームを肌で感じたという。初めて会う言葉の通じない観客の好反応に感動し、可能性を見出した。延本は「もっと世界で公演したい」と目を輝かせる。美しいメロディーや優しい歌声は言葉や国境を越え、異色の存在だったはずの彼らが世界を魅了し始めている。 (萩原 可奈)

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