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体操男子団体金メダル 担当美容師が明かした萱主将の験担ぎ オーダーは「センターパート」

スポニチアネックス / 2024年7月31日 5時21分

東京五輪のメダルを手にする萱和磨(右)と担当美容師の折笠善一さん

 大逆転金メダルに列島が沸いた。体操男子団体の試合中に「諦めるな」と何度も叫び、チームを鼓舞し続けたキャプテン、萱和磨(27)は髪形に託した思いを実現させ、行きつけの美容院からは歓喜の声が上がった。

 「諦めるな!五輪は何があるか分からない」。熱い言葉で逆境のチームを鼓舞し続けた萱。その言葉に導かれるように起こった逆転劇を特別な思いで見守った人がいた。2016年のリオデジャネイロ五輪後から萱のヘアカットを担当している、千葉県成田市の美容院「at will hair」の折笠善一さん(44)だ。

 同店は萱の母校、順大の隣駅に構えていることもあって、順大体操部の選手が多く利用している。萱は約7年間、月1回のペースで来店。折笠さんは「責任感の塊のような感じ」と萱を評し、萱の後輩部員たちがよく「和磨さんより練習する選手は見たことがない」と話すのを聞くという。

 萱は今回の金メダルで五輪通算3個目のメダル。ただ、折笠さんによると、これまで決して順風満帆ではなかったという。萱はリオ五輪は補欠。団体で金メダルを獲得し、表彰台で輝く選手団を客席から見届けた。「東京では表彰台のセンターに立ちたい」。その思いを髪形に込めた。東京五輪を前に短髪から心機一転。「表彰台の真ん中に立つ」という願掛けから、折笠さんに「センターパート」をオーダーするようになった。

 しかし、東京五輪では2つのメダルを獲得するも、目標の金には届かず、パリ五輪には2大会分の悔しさを胸に挑んだ。渡仏当日の日中にも来店し「金メダルを持って来ます」と約束した。

(テレビ見て涙/) 決勝は最終種目の演技を残して首位の中国との差は3・267。絶望的とも言える点差を前に選手の表情は曇ったが、萱の思いが折れることはなく、熱い声かけが日本選手を突き動かした。

 萱は念願だった表彰台のセンターに立ち、男泣きした。その姿をテレビの前で涙を流して見守った折笠さんは「次のオリンピックも楽しみにしています。見たいですね」。約束を果たした萱に、さらなる飛躍を期待した。(菊地 一)

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