あの日も蒸し暑かった 26年前のプロ野球史上に残る「暴挙」
スポニチアネックス / 2024年7月31日 8時0分
あの日も蒸し暑い真夏の夜だった。ちょうど26年前の1998年7月31日。プロ野球史上に残る「暴挙」を、バックネット裏の記者席から目撃した。今年で100周年の甲子園球場。その長い歴史においても忘れ難い大事件だった。
阪神―巨人の伝統の一戦。審判の判定にイライラを募らせていた巨人先発の助っ人ガルベスが6回、交代を告げられて三塁ベンチに戻る際、なんと橘高球審にボールを投げつけたのだ。当たらなかったのは幸いだが、140キロは出ている剛速球だった。もちろん即刻、退場。巨人担当2年目だった記者も、両軍ナインも、球場を埋めていたファンも誰もが仰天した。なにより驚き、そして怒っていたのは、ユニホームをわしづかみにして必死にガルベスをベンチに引きずり戻そうとしていた当時の長嶋茂雄監督だろう。
ガルベスは試合になると別人のように熱くなってしまうが、普段は紳士的でシャイでもあった。報道陣の取材にも丁寧に応じてくれた覚えがある。キレたら怖いやんちゃな男。そんな助っ人のことが長嶋さんは好きだった。この事件のあと、「ファンへの謝罪」として自ら頭を丸刈りにした。試合中は帽子をずっとかぶっていたが、東京ドームの駐車場で帰りの車に乗り込む時に帽子を取って見せてくれたことがある。ミスターは「えへへ」と照れ笑いを浮かべていた。
翌8月1日、セ・リーグはシーズンの残り試合を出場停止にする処分を発表。同時に巨人もガルベスは「無期限出場停止」とした。その後に紆余(うよ)曲折あってガルベスは翌年も残留。そして、その99年は開幕投手も務めた。抜てきしたのは長嶋監督。決して擁護できない暴挙だったが、長嶋さんはそのキャラクターを愛してもいた。助っ人右腕が母国ドミニカ共和国でトレーニングしている際には、一句詠んだこともある。「ガルベスが、カリブの海で ブイ運ぶ」。海に浮かんだ「ブイ」と優勝の「V」をかけたものだった。
球史に残る大事件。もちろん許されることではないが、今のプロ野球界にはガルベスのような「暴れん坊」が減ってしまったのも事実。ふと懐かしさを覚えた真夏の夜だ。(記者コラム・鈴木 勝巳)
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