浦和・興梠慎三が引退会見「自分の力じゃチームを勝たせられない」 歴代2位のJ1通算168得点
スポニチアネックス / 2024年7月31日 14時6分
浦和のFW興梠慎三が38歳の誕生日を迎えた31日、さいたま市内で引退会見を行った。
スーツ姿で会見場に現れた興梠は「今年で現役を引退することを決断しました」とあいさつ。所属した鹿島、浦和、札幌関係者への感謝を口にした上で「きょうは全部お答えするつもりです。堅苦しい会見は嫌なので、にぎやかな会見にしたいと思います」と笑顔を見せた。
引退を決断するに至った理由として「自分の力じゃチームを勝たせられないというのが正直な気持ちです」と明かし、誕生日を会見の日に選んだことについては「僕がここまで現役を続けられたのは、母が丈夫な体に産んでくれたのが一番。自分にとっても特別な日で、母にとっても自分を産んだ特別な日と思っている。お互いが特別な日である今日という日を引退会見ということで、感謝を伝える、そういう日だと思ったので、この日を選びました」と話した。
鹿島に所属していた05年3月のナビスコカップ・名古屋戦でプロデビューすると、07年6月の大分戦でJ1初ゴール。12年から9年連続2桁ゴールも達成した。17年には33試合の出場で自己最多の20得点を挙げ、Jリーグベストイレブンに選出。19年4月の清水戦で決めたゴールはJ1の平成ラスト弾となった。J1での168得点は、191得点を記録した大久保嘉人に次いで歴代2位の数字となった。記録にも記憶にも残るストライカーだった。
日本代表では16試合に出場し、背番号10を背負った経験もある。16年リオデジャネイロ五輪には24歳以上のオーバーエージ(OA)枠として出場。初戦のナイジェリア戦ではPKを決めるなど、国際舞台でも抜群の存在感を発揮した。
昨年のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝、アルヒラルとの第1戦ではアウェーの中、値千金の同点ゴール。17年以来3度目のACL制覇につなげた。22年に右膝半月板を損傷し手術。昨季限りで引退する考えもあったが、クラブから慰留を受けて熟考。目の前の1年に全精力を注ぎこむ覚悟を固め、現役続行を決意した。
3月の湘南戦で今季初得点。J1では07年から18年連続での得点となり「尊敬している」と公言する、17年連続で並んでいた小笠原満男氏を抜いて単独最長とした。ここまでリーグ戦15試合に出場し、歴代7位の小笠原氏のJ1通算525試合出場にはあと1と迫っている。
チームは元日本代表DF酒井宏樹(34)やDFアレクサンダー・ショルツ(31)、MF岩尾憲(36)らが退団。MF本間至恩(23)、FW二田理央(21)が加入し、若返りが進む中、「自分の役割だと思っている」とベテランらしく陰で支えてきた。
「ふざけながら、楽しみながらサッカーやって、試合に勝つのが一番いい」。自然体を貫き、道をつくってきた。日本サッカー史に名を刻んだ生粋のストライカーがユニホームを脱ぐ。
◇興梠 慎三(こうろき・しんぞう)1986年(昭61)7月31日生まれ、宮崎県出身の38歳。05年に鵬翔高から鹿島に入団。13年に浦和へ移籍し、22年は札幌へ期限付き移籍した。23年に浦和に復帰。これまで数多くのチームタイトルと個人タイトルを獲得した。12年からJ史上初の9年連続2桁得点をマーク。日本代表は16試合0得点。1メートル75、72キロ。利き足は右。
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