王貞治氏 甲子園開場100周年に思い「高校球児の最終的な目標。甲子園よ、永遠であれ」
スポニチアネックス / 2024年8月1日 5時1分
甲子園球場は8月1日に開場100周年を迎える。西東京大会を勝ち抜いて9年ぶり30度目の選手権大会出場(7日開幕)を決めた早実出身で、歴代1位の通算868本塁打を記録し、巨人時代も同球場で活躍した王貞治氏(84=ソフトバンク球団会長)がスポニチ本紙のインタビューに応じた。早実時代は春夏通じて4度も出場し、2年夏には無安打無得点試合も達成。聖地への思いを語った。(聞き手・福浦 健太郎)
――100周年を迎えた甲子園球場で節目の夏の選手権がまもなく開催する。
「100年続いて、青少年の思いをつなぐ大会になった。素晴らしいこと。球児の夢ですからね。現在も受け継がれているということで、球児たちはもちろん、応援するファンの方も特別な大会だと思う。これから200年へとつないでいってほしい」
――ご自身も早実時代の1956年夏に1年生で初出場し、4季連続出場。57年春はエース兼4番、同年夏はノーヒットノーランも達成した。
「小学校か中学校まで、甲子園に出るとは思いもしなかった。考え始めたのはある程度、本格的に野球をやる中で身近になってから。それくらい、硬式の野球は縁遠いもので、自分がやるなんて、思ってもみなかった」
――1年夏に初めて立った甲子園の印象は。
「とにかく、あんなでっかいグラウンドでやったことないし、スタンドが大きい。銀傘もあった。あがりっぱなしでしたね」
――「血染めのボール」での選抜制覇は甲子園の伝説。
「2年春に優勝したのは、自分でも信じられないくらいでしたけど、弾みがついちゃったんでしょうね。4試合連続(登板)でしたからね。無我夢中で投げましたよね。(決勝は)マメができて血が出たりした。普段は痛くて仕方なかったけど、グラウンドに立つと痛みを感じませんでした。人間ってこんなもんなのかと、火事場のバカ力、みたいなものも感じました」
――3年春には2試合連続のホームランも放っている。
「それまでも軟式野球でやっている時からボールは飛びましたけど、甲子園で打てたというのは物凄く自信になりましたよね。それも2本、右中間とレフトへ打てたんでね。自分がバッターとしてボールを遠くへ飛ばすことができると確信した時でした」
――3年夏は5季連続出場を逃した。
「3年夏に甲子園に行っていたら、大学に行っていました。それまではプロは考えていなかったけど、負けちゃったんで、そのショックがありました。当然、夏も(甲子園へ)行くつもりでしたから。人生も変わりましたね」
――高校野球は近年、球数制限が導入され、金属バットも今春選抜から低反発のものに完全に移行。木製を使用する選手もいる。
「いつの世の中も変革はある。ケガを防ごうという意識が強いから、球数制限とかね。肩肘の検査とか、いろんなものが出てきましたよね。全体的にはいいことだと思います。腕も折れんとするくらいの時代も懐かしいですけど、故障を防ぐというのも大事なことなんでね。今は医学も進んでいる。検査してこれ以上やらない方がいいというのも分かる」
――今大会からは酷暑への対策で2部制も導入されるなど時代とともに変化している。
「我々がやっていた頃の夏と、地球温暖化の現代では気温も違いますからね。過保護になりすぎないところも大事だけども、防げるところは防ぐのは大切」
――節目の大会に出場する選手や、地方大会で敗れた選手も含めて球児へエールを。
「とにかく、青春の一ページ。勝った人も負けた人もいい思い出になっている。次のステップでも、“あれだけ頑張れたんだから”と次も頑張ろうとバネになる。これからも志す人にはどんどん、頑張ってほしい」
――高校野球100年では15年に始球式も行った。高校野球の未来への期待はどう思っているか?
「球児にとって甲子園は、なんの理屈もなしに目指したいところなんですよね。甲子園を目指すという純粋な気持ちが、高校球児にあるうちは野球の素晴らしさはつながっていく。見る人の心も打ちます。甲子園がある限り、高校野球は続いていくと思う。高校球児の最終的な目標ですからね。ここまでも100年続いているもの、他のところでとなれば違ったものになってしまう。“甲子園よ、永遠であれ”ということです」
▽血染めの完投 早実2年だった1957年春の選抜は準決勝まで3試合連続で完封勝利を飾って決勝に進出。高知商との決勝では8回に3点を失って4試合連続完封は逃したが、3失点完投で5―3で勝利。試合途中で左手の中指と人さし指のマメがつぶれて流血したが、気迫で最後までマウンドに立ち続け、伝説の試合となった。
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