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大野豊氏 阿南準郎さんを悼む「怒りとは無縁の温厚な方だった」

スポニチアネックス / 2024年8月1日 5時41分

86年、完封勝利の広島・大野(左)を祝福する阿南監督

 とても温厚な方だった。私が入団した当時はコーチで、86年からの3年間は阿南監督の下でプレーした。当時はチームの転換期。古葉前監督の耐えて勝つ野球を継承され、若返りを図りながら就任1年目からリーグ優勝を果たされたことが、鮮烈な記憶に残る。

 怒られたことはもちろん、何かを言われたことすら一度もない。大野、お前に任せた、やってくれよ――。全てがそんな感じだった。振り返れば22年間の現役生活で、私の先発としての絶頂期は阿南監督最終年の88年。その年に優勝できなかったことは残念だけど、見守られながら、非常にやりやすい環境でプレーさせてもらった。

 利用する理髪店が同じだった縁で、カープ退団後もプライベートでは何度かお会いしていた。体が弱くなられた感はあったが、ジョークを交えながら会話し、帰途に就く際には「お体に気を付けてください」「お互い、頑張りましょう」とあいさつするのが常だった。

 今年に入り、体調を悪くされたと耳にしていた。対面する機会もなく、気がかりな状況にあった。ここ数年、チーム関係者の訃報に接する機会が少なくない。寂しさが募る。ご冥福をお祈りします。 (スポニチ本紙評論家)

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