村尾の銀で柔道5日連続メダル 三四郎の「ターニングポイント」16分18秒の激闘 母は米国人の23歳

＜パリ五輪　柔道＞男子90キロ級、表彰式でラシャ・ベカウリ（左から2人目）にキスをされる村尾三四郎（左）（撮影・平嶋　理子）

　◇パリ五輪第6日　柔道（2024年7月31日　シャンドマルス・アリーナ）

　男子90キロ級の村尾三四郎（23＝JESグループ）が31日、決勝で世界ランク1位で東京五輪金メダルのラシャ・ベカウリ（24＝ジョージア）に合わせ技一本で敗れ、銀メダル獲得となった。23歳で立った初五輪。目指してきた金メダルには、あと一歩届かなかった。

　村尾の試合後、場内に響き渡ったブーイング。ともに技ありを奪って迎えた残り30秒。村尾が相手を倒した内股。しかし、「待て」のコールはあれど、ビデオ判定のコールはなかった。試合後、.鈴木桂治監督は「投げた時の、映像で見ましたけど、あのポイントは今回のオリンピックに関しては、取ってないなという印象です。片手だけついていた。あそこで両手がついていればポイント。ルールブックにも書いてありますので」と冷静に語った。

　村尾の銀メダル獲得で、今大会のニッポン柔道は競技開始から5日連続のメダル獲得となった。

　小6で初めて日本一に輝いた村尾。神奈川・桐蔭学園高3年時に急きょ出場したGS大阪大会で銅メダルを獲得し「令和の三四郎」と注目を集めるようになった。しかし、東京五輪には出場できなかった日本柔道界期待の星がパリの地での決勝で激闘を繰り広げるまでに飛躍したきっかけとなったのは、大学4年時のある試合だった。王道スタイルで大国・フランスのファンも魅了した村尾三四郎という男とは――。

　☆生年月日　2000年（平12）8月28日生まれの23歳。米ニューヨーク生まれで、2歳で神奈川、5歳で茨城へ転居。中学から親元を離れた。神奈川・桐蔭学園高、東海大を経て、23年4月からJESグループ所属。家族は両親と兄、姉。

　☆柔道歴　5歳でつくばユナイテッド柔道クラブで開始。小6の時に全国少年大会で初の日本一。高校時代は2、3年でインターハイを制す。大学以降に国際大会でも結果を残し、2度目の出場だった23年世界選手権で3位。

　☆名前の由来　日本人の父、米国人の母の下に生まれたが、父が「生粋の日本人に育ってほしい」との思いで三四郎に。「平成の三四郎」と呼ばれた古賀稔彦さんになぞらえ「令和の三四郎」と呼ばれることも。

　☆転機　東海大4年だった22年の全日本学生優勝大会決勝の国士舘大戦は代表戦に持ち込まれ、主将だった村尾は1学年下で100キロ超級代表の斉藤立と対戦。体重差は70キロあり下馬評では圧倒的に不利だったが、動き回って徐々に相手のスタミナを削ると、最後は抑え込んで一本勝ちして6連覇を達成。16分18秒もの長期戦で番狂わせを演じたこの試合を、後に「ターニングポイントになった」と振り返る飛躍のきっかけになった。