性別騒動の女子ボクサー、メダル確定 準々決勝で”フルマーク”圧勝 試合後は涙も
スポニチアネックス / 2024年8月4日 0時59分
◇パリ五輪第9日 ボクシング 女子66キロ級準々決勝(2024年8月3日 パリ北アリーナ)
ボクシングの女子66キロ級準々決勝が行われ、性別騒動の渦中にあるイマネ・ヘリフ(25=アルジェリア)がアンナ・ルカ・ハモリ(25=ハンガリー)に5―0で判定勝ちし、準決勝へ進出してメダルを確定させた。
アルジェリアの大応援団がブーイングをかき消すような熱狂的な声援を浴びせ、会場が騒然とする中、ヘリフは長いリーチを生かした左ジャブからボディー、ストレートを打ち分けた。ハモリも果敢に前へ出てジャブから右フックを叩きつけたが、1ラウンドの採点はジャッジ5人全員が10―9でヘリフを支持。2ラウンドもヘリフがきれいなワンツーや強烈な左フックを決め、1人のジャッジはヘリフの10―8と採点した。ヘリフは3ラウンドにホールディングで減点1を受けたものの、それ以外は1点も失わない”フルマーク”で圧勝した。判定が告げられると2人は健闘を称え合い、ヘリフは相手コーナーのロープに腰を下ろしてハモリがリングを出るのをサポート。しかし、リング上で1人になると右拳をキャンバスに叩きつけて感情を爆発させ、涙を流しながらコーチ陣と抱き合った。
国際ボクシング協会(IBA)が主催した昨年の世界選手権での性別適格検査で不合格となったヘリフは、1日の2回戦でアンジェラ・カリニ(イタリア)と対戦したが、ヘリフのパンチを浴びたカリニが開始わずか46秒で棄権した。涙を流したカリニは「自分のために”ストップ”と言った。自分の命を守らなければならなかった」と語り、ヘリフの出場には賛否両論が巻き起こった。組織運営に問題があるとしてIBAを資格停止とし、東京大会に続いてボクシング競技を自ら運営する国際オリンピック委員会(IOC)は「女性として生まれ、パスポートの記載も女性なので問題ない」(マーク・アダムス広報部長)と出場を認めている。
ハモリがケリフと戦うのを前に、ハンガリー協会は「世界選手権から追放されたことがある選手をIOCの競技に参加させた決定を再考するよう求める」と抗議する意思を示した。一方でハモリは「怖くはない」と、ケリフとの対戦を受け入れる姿勢を示していた。
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