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佐藤満氏 「強い」から「負けない」になったレスリング・文田 成長の詰まった準決勝と決勝

スポニチアネックス / 2024年8月8日 2時1分

<パリ五輪・レスリング男子60キロ級決勝>金メダル文田(撮影・岡田 丈靖)

 ◇パリ五輪12日目 レスリング(2024年8月6日 シャンドマルス・アリーナ)

【佐藤満 評論】 準決勝と決勝の2試合に、文田の成長が詰まっていた。まず、事実上の決勝戦とみていたキルギス選手との準決勝。最初の3分間は耐えて守り、しびれを切らした相手得意の差しで攻勢に出てきたところを、必殺の反り投げで仕留めた。決勝は逆。最初から前に出る圧力を掛けて積極性による先制点を奪い、有利な体勢から始まる寝技できっちりポイントを取り切った。

 豪快な投げ技は文田というレスラー最大の魅力であり、武器だ。東京まではその理想のレスリングに固執するあまり、自分の技が掛からない時の引き出しが少なかった。しかし今回は、相手や試合の流れによって攻と防をうまく使い分けていた。例えれば「強い」から「負けない」になった印象だ。

 全身が攻防の舞台となるフリーに比べ、上半身に限られるグレコは力比べとなる局面が多く、日本人選手には不利とされてきた。しかし、日体大の松本慎吾監督ら強化スタッフは目をそらさず、前に出る圧力と、寝技でポイントできる技術の両面を愚直に磨いてきた。努力が花開いた金メダルを、心から祝福したい。

 女子68キロ級で銅メダルを獲得した尾崎の努力も称えたい。惜しかったのは準々決勝。相手を崩さず仕掛けた攻撃でいきなり6ポイントを奪われたが、本来の62キロ級なら避けられただろう。一時は追いつきながら、最後は守りに入ってしまった。2階級下、62キロ級のスピードを徹底的に生かす試合運びをしていたら、もっといい色のメダルに手が届いたかもしれない。 (88年ソウル五輪金メダリスト、元日本男子強化委員長、専大教授)

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