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銅メダル尾崎 周囲の反対押しきり慶大進学して文武両道 夢は国際貢献「イスラム教徒との架け橋に」

スポニチアネックス / 2024年8月8日 2時1分

<パリ五輪・レスリング女子68キロ級3位決定戦>銅メダルを獲得しハートマークを作る尾崎(撮影・岡田 丈靖)

 ◇パリ五輪12日目 レスリング(2024年8月6日 シャンドマルス・アリーナ)

 女子68キロ級の尾崎野乃香(21=慶大)は6日の敗者復活戦、3位決定戦を勝ち、銅メダルを獲得した。頂点は逃したものの、慶大女子初の個人種目での五輪メダリストとなった。レスリング界の王道をあえて外れ、大学ではイスラム文化を学びながら文武両道に取り組んで確かな足跡を残した。

 頂点のみを目指してパリに乗り込んだはずだったが、3位決定戦に勝利すると「本当に最高の気持ち」と満面の笑みで語った。世界中の選手が人生を懸けて臨む大舞台だからこそ、負ければどん底に突き落とされる。尾崎もまたしかり。奮い立って2試合を戦い抜き「自分を褒めたいし、メダルを持ち帰れるのは本当に心からうれしい」と胸を張った。

 前日の準々決勝で敗戦後、まだ敗者復活戦進出が決まっていない中で、父・佳史さんから電話で伝えられた。

 「壁にぶち当たって、そこからはい上がれる人と、はい上がれない人がいる。でも、はい上がってきたのが野乃香なんだからね」

 22年に世界女王になった62キロ級で代表を逃し、昨秋に本格転向した68キロ級で代表の座をつかんだ。今年1月のプレーオフでも、残り9秒台から大逆転勝利。確かに壁にぶち当たり、はい上がったからパリへたどり着いた。「いま私はどん底にいる。ここから銅メダルを獲ったら相当凄い」と言い聞かせ、前夜に敗者復活戦進出が決まると、覚悟を決めた。

 レスリング面でも1日で修正を図った。元々は攻撃的スタイルでタックルが強みだが、前日は最終盤に失点した反省から「6分間でどう戦うか。最後に(勝者として)手を上げてもらえるような」戦術に変更。リードを奪った後は無理攻めをせず、この日の2試合は無失点。勝負に徹した。

 レスリングエリートでありながら、関係者の反対を押し切って慶大へ進学。練習拠点はなく、学業との両立も困難を極めるが、「私にしかできない」と我が道を行く。4年後は階級維持か、それとも62キロ級に戻すのか。「ちょっと(考えは)あるんですけど」と話しかけ、口に人さし指を当てていたずらっぽく笑った尾崎。どの階級であろうとも、そのゴールが金メダルであることは変わらない。

《イスラム圏研究》

 ○…尾崎は海外選手との交流を通じて興味を持ったイスラム圏のスポーツの在り方を研究し、周囲には「ムスリム(イスラム教徒)との架け橋のような存在になりたい」と国際貢献への思いを語る。野中葉准教授(50)のゼミに入り、国内のイスラム教徒と交流したり、モスクにフィールドワークに行ったりする。野中さんは「真面目で研究熱心。五輪に出るので、卒業を半年延ばしてでも論文をやり遂げたいと話している。“五輪代表なので”という甘えはまったくない」と語る。

 ◇尾崎 野乃香(おざき・ののか)2003年(平15)3月23日生まれ、東京都出身の21歳。7歳で競技を始め、小5、6で全国少年少女選手権を連覇。帝京高を経て22年4月に慶大に入学し、環境情報学部に在学中。慶大レスリング部から日本代表として五輪に出場するのは、52年ヘルシンキ大会の北野祐秀以来72年ぶり2人目。普段の練習は神奈川大や東洋大など出稽古が中心。女子62キロ級で世界選手権は21年3位、22年優勝。23年杭州アジア大会2位。65キロ級では23年世界選手権優勝。昨年の杭州アジア大会後に68キロ級に転向。身長1メートル66。

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