【甲子園】勝負決めた健大高崎・加藤の“神走塁” 二塁からタッチアップし一気に本塁へ

＜健大高崎・英明＞5回、箱山の犠飛で生還する健大高崎・加藤（撮影・中辻　颯太）

　◇第106回全国高校野球選手権大会第1日・１回戦　健大高崎1―0英明（2024年8月7日　甲子園）

　【光る君の光プレー】スポニチ取材班が夏の聖地での好プレーを紹介する「光る君の光（こう）プレー」。選抜から低反発の「飛ばないバット」が完全導入され、守備走塁の重要性が増す中で、健大高崎の加藤大成内野手（2年）が見せた、相手の隙を突いて決勝点を奪った好走塁が光った。

　瞬時の判断と思い切りの良さ。そこに春の王者の底力がある。健大高崎に千金の1点をもたらしたのは、「2番・三塁」で出場した加藤大成の好走塁だった。

　「少し暴走気味でも絶対に1点取らないといけない場面が出てくると。振り逃げで塁に出て“何か起きる”と思った」。加藤が振り逃げで出塁した5回1死二塁。二塁走者で、4番・箱山遥人（3年）の左翼への大飛球で二塁からタッチアップした。捕球した左翼手がフェンスに激突。「捕球体勢が悪く、肩もそれほど強くないという情報もあった」。抜群の状況判断で迷わず三塁を蹴り本塁を陥れた。記録は犠飛となり、箱山に打点が付いた。

　足に自信はない。50メートルは6秒3。だが、走塁への意識は高い。北海道・福井野中からの野球留学。小2のとき、甲子園を席巻した同校の「機動破壊」を見て「小技で揺さぶる自分の武器を生かせる」と思った。9年前に抱いた思いを甲子園で体現。チームを2回戦へ導いた。（秋村　誠人）