77キロ級・日下尚 初五輪で金「よっしゃ！やったぜ！」プラン通りの展開ではなくても「自分を信じて」

男子グレコローマン77キロ級で金メダルを獲得した日下はスタンドで喜ぶ（撮影・岡田　丈靖）

　◇パリ五輪第13日　レスリング（2024年8月7日　 シャンドマルス・アリーナ）

　男子グレコローマンスタイル77キロ級の日下尚（23＝三恵海運）が7日、決勝でデメウ・ジャドラエフ（カザフスタン）を5―2で下し、初五輪で金メダルに輝いた。60キロ級を制した文田健一郎（28＝ミキハウス）に続く日本グレコ勢の快挙。1968年メキシコシティー大会の宗村宗二のライト級（70キロ）超え、日本勢最重量クラスでの金メダル獲得となった。日下の金で今大会の日本選手団の獲得メダルが30に到達（金12、銀6、同12）した。

　金メダルが決まると、マット上でひざまずき、雄叫びを上げた。日の丸を手にコーチらとウイニングラン。マット中央付近で華麗なバック宙を決め、「最高に楽しい6分間でした」と満面の笑みを浮かべた。

　凡人から超人へ―。人生を変えたいと臨んだパリの舞台だった。第1ピリオドは0－2と先行を許し、追う展開。第2ピリオド開始直後に同点に追いつき、一気に逆転に成功して逃げ切った。

　「正直、プラン通りの試合展開ではなかった」としながらも、「最後は自分を信じることしかできなくて、マットの上に立ったら誰も助けてくれないし、信じるのは自分と過去の練習量、やってきたすべてを信じて、自身自分を奮い立たせて前に出続けました」と振り返った。「ちっちゃい頃からきつい思いを乗り越えてやってきたので、本当に優勝できて良かったです」。すべてを出し切り、自らの力で新たな人生を切り開いた。

　日本勢としては6日に男子グレコローマンスタイル60キロ級を制した文田健一郎に続く金メダル。「あこがれの先輩」とともに、あこがれの舞台でつかんだ頂点。「まだ、現実か分かんないです」と夢見心地であることを明かしながらも、インタビューの最後は「よっしゃ。やったぜ」と無邪気に笑った。