健大高崎が「神走塁」で勝利 三塁コーチ金井俐樹が二塁から一挙本塁へ「GO」にした理由
スポニチアネックス / 2024年8月8日 9時24分
◇第106回全国高校野球選手権 第1日 健大高崎1―0英明(2024年8月7日 甲子園)
甲子園100周年の節目の大会が開幕し、開会式に続いて1回戦3試合が行われた。史上8校目の春夏連覇を狙う健大高崎(群馬)は、英明(香川)を1―0で下した。機動力で相手を圧倒する伝統の「機動破壊」の足技が勝敗を分けた。
0―0の5回1死二塁。4番・箱山遥人(3年)の左翼への大飛球で加藤大成(2年)が二塁からタッチアップした。捕球した左翼手がフェンスに激突。「捕球体勢が悪く、肩もそれほど強くないという情報もあった」。抜群の状況判断で迷わず三塁を蹴り、一気に本塁を陥れた。記録は犠飛となり、箱山に打点が付いた。
三塁ベースコーチの金井俐樹捕手(3年)も一切迷いがなかった。左翼手がフェンスに衝突したために腕を回したと思われたが、実際は違った。「レフトがフェンスに衝突しなくても回していました」という。明確な判断基準があった。
「カットマンのショートがレフトの定位置くらいまで深く追っていたんです。だから絶対行けるなと。かなりセンスがあるショートなんですけど、レフトから返球を受けても絶対にノーバンで本塁に投げられる距離じゃなかった。加藤が三塁に行った状態であれば、ショートからホームにワンバウンドで送球されても、加藤の足に“健大のスライディング”があればセーフになると思って回していました」
フェンスに衝突という要素ではなく、背走した左翼手の姿勢とカットマンの位置で「GO」を決断していた金井。今回は好判断で決勝点を生んだ影のヒーローになったが、三塁ベースコーチは判断を間違えれば走者がアウトになり、試合の流れすら変えてしまうことがある。優勝した群馬大会では先行する走者と後続の走者の「ストップ、ゴー」が食い違う走塁ミスもあった。三塁ベースコーチを務める金井のミスではなかったが責任を痛感。それでも「自分が迷ったらチームのマイナスになる。絶対迷っちゃダメな立場だと思っている。あとは甲子園が絶対に味方してくれると思っていた」と不退転の覚悟で定位置に立った。
「春夏連覇ってよりも自分はメンバー、メンバー外の3年生と1日でも長く野球をやりたい。そのために1日を大切にしたい」。機動破壊を支える三塁ベースコーチは頼もしく言った。(柳内 遼平)
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