阪神・佐藤輝 勝ち越し呼んだ三塁への好走塁を岡田監督も称賛「意識や。意識の問題や」

＜ヤ・神＞4回無死一塁、大山の三ゴロで、送球の間に三塁を陥れる阪神・佐藤輝（撮影・北條　貴史）

　◇セ・リーグ　阪神6ー3ヤクルト（2024年8月8日　神宮）

　好走塁と快音で拙守の雪辱を果たした。5回途中降雨コールドで敗れた前日の2回、失点直結の2失策を犯した阪神・佐藤輝が、挽回の躍動を披露した。

　まずは足だ。4回、先頭・森下の同点ソロで追いついた直後に四球で出塁。続く大山の打席、フルカウントからの9球目に二塁へ猛然とスタートを切った。スイングした大山の打球は三塁・村上の正面ながら、ベースのはるか後方での捕球により、三塁はガラ空き。二塁を回り様子をうかがい、一塁送球とともに三塁へ突入――。一塁・オスナの全力転送、遊撃・長岡の懸命のカバーリングをあざ笑うかのように、鮮やかに三塁へ滑り込んだ。

　「行けると思ったので行きました。（打球が）サードに飛んだときにちょっと（三進の意識は）頭にあった」

　岡田監督からも「意識や。意識の問題や」と称えられた激走。1死三塁をつくったことで、相手内野陣は前進守備を余儀なくされた。一気にヒットゾーンを広げて前川の気負いを消し、左前適時打につなげた。勝ち越しの生還を果たした背番号8は、直後の5回にバットでも貢献する。

　「低めのフォークをうまく拾うことができた。追加点を取ることができて良かった」

　1死満塁から森下が2点適時打を放ち、4―1。続く一、二塁の好機で落ちる球を中前へ運び、5点目を生んだ。柔軟に膝を使う巧打で2試合ぶりの打点。終盤の追い上げを考えても、意味のある一撃と言っていい。

　試合前のウオーミングアップ中、佐藤輝はナインの輪から離れ、小さめのグラブを手に三塁ラバーフェンスへの壁当てを黙々と繰り返した。反省を胸に基本を再確認し、リベンジを期した一戦はきっちり無失策で終えた。

　9日からは2差で追う首位・広島と激突する。「また（大阪に）戻って、いい試合をしたい」。雨の夜の屈辱をバネに、25歳はまた少し、たくましくなった。（八木　勇磨）