【甲子園】金足農2年生エース吉田大輝 154球熱投も7回5失点で涙「この舞台に戻ってこないと」
スポニチアネックス / 2024年8月10日 5時2分
◇第106回全国高校野球選手権大会第3日・1回戦 金足農4―6西日本短大付(2024年8月9日 甲子園)
1回戦3試合が行われ、金足農(秋田)は西日本短大付(福岡)に4―6で敗れた。2年生エースでオリックス・吉田輝星投手(23)を兄に持つ大輝投手は、7回までに154球を投じて9安打5失点。準優勝で全国に「金足農旋風」を巻き起こした18年夏の再現を狙ったが、初戦敗退となった。
大輝をもう一度、マウンドへ――。6点を追う9回、金足農ナインが驚異の粘りを見せる。地鳴りのような歓声と手拍子が甲子園を包む。6年前、アルプス席で見ていた光景と同じだ。もう我慢できない。一塁ベンチで逆転を祈る吉田の目から涙があふれた。2点差とし、最後は2死一、二塁と一発逆転まで演出も敗退。初めての甲子園が、幕を閉じた。
「自分が全部の回でマウンドに立てなかったのが悔しくて。それでも仲間が必死につないでくれて。自分がふがいないです」
苦しい154球だった。球威を増すため大阪入り後に取り組んだワインドアップで挑んだが初回から失点。自己最速タイの146キロは計測も、得意のスライダーとチェンジアップがことごとくカットされた。100球を超えた5回は3安打に3四球も絡み4失点。7回9安打5失点、2奪三振で降板し「エースが抑えなければいけなかった」と唇をかんだ。
悔しさであふれた2時間17分で成長した姿も示した。失点を重ねても常に笑顔で、攻撃時はベンチで応援歌を口ずさむなど気丈に振る舞った。昨秋までは打たれるとすぐにふてくされていたが「自分が下を向くとチームも下を向く」と責任感も増して今年を迎えた。秋田県勢103年ぶりの決勝進出で準優勝した18年と同じオール秋田出身者で駆け抜けた夏。吉田のスター性もあって大会前から話題を集め、9回は球場全体を味方に付けた。
2年生ながら兄がつかめなかった日本一を本気で目指した。だから「まだ甲子園にふさわしい投手ではなかった」と表現し「もうマウンドは誰にも譲らない。何球でも投げられる体力をつけ、この舞台に戻ってこないといけない」と誓った。感謝と後悔の涙は、もう乾いた。甲子園は成長した姿を待っている。(村井 樹)
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