【甲子園】岡山学芸館はダブルエース沖田＆丹羽が熱投リレー 部員100人一丸で夏1勝

＜岡山学芸館・聖カタリナ学園＞9回、最後の打者を抑えた岡山学芸館・丹羽はガッツポーズ（撮影・後藤　大輝）

　◇第106回全国高校野球選手権大会第4日・1回戦　岡山学芸館1―0聖カタリナ学園（2024年8月10日　甲子園）

　岡山学芸館は県大会で3試合ずつ先発したダブルエースの熱投で、5年ぶりの夏1勝をつかんだ。9回を締めた背番号11右腕・丹羽知則は満面の笑みで試合後の整列に入った。

　「8回の時点で“行くよ”と言われていた。心の準備もできて、いい形で入れた」

　先頭に内野安打を許すも、一塁けん制で刺し、後続も危なげなく断った。OBで、前回出場時に2試合先発登板した兄・淳平さんから「ピッチャーライナーだけは気をつけろ」と冗談交じりのエールをもらって臨んだ聖地のマウンド。「沖田が粘りのピッチングをしてくれたんで、意地でもゼロに抑えようと思った」と振り返った。

　背番号1の右腕も盤石だった。沖田幸大は8回を無失点。「自分のリズムで投げることができたので、良かった」。1メートル71と小柄で最速も130キロ台中盤ながら、阪神・村上の投球スタイルを参考に制球を重視。4回先頭で与えた四球は、岡山大会から数えて26イニング目で初めてだった。7回に右腕へ受けた死球の影響で8回は1死一、三塁のピンチを招くも、気迫で切り抜けた。

　第3日までの朝夕2部制ではなく、この日からは4試合が行われた。今大会初めて、最も気温が高い時間帯の午後2時8分に開始された一戦で、右腕2人が熱投。岡山勢の無失点勝利は創志学園・西純矢（現阪神）が完封した18年1回戦創成館戦以来。スコア1―0に限れば53年ぶりだ。

　部員100人の大所帯。100歳を迎えた聖地のアルプスからは3000人の大声援が届いた。「ピンチの時はアルプスを見て、力をもらおうと思っていた」と沖田。次もベンチとスタンドが一体となり、勝ち進む。　（石丸　泰士）

　◯…岡山学芸館が聖カタリナ学園に1―0で勝利。夏の甲子園大会での岡山勢の零封勝利は2018年1回戦の創志学園（7―0創成館）以来6年ぶり。また、岡山勢の「1―0勝利」は1971年準々決勝の岡山東商（対県岐阜商）以来53年ぶりで、74年の金属バット導入後は初。

　≪低反発金属バット導入の契機、丹羽の兄・淳平さんが観戦≫

　○…岡山学芸館の三塁側アルプスでは、9回を締めた丹羽の兄・淳平さん（22）が観戦した。淳平さんは19年夏に同校の投手として甲子園に出場し、初戦の広島商戦で投球後にライナー性の打球を顔面に受けて左頬を骨折。投手のケガ防止を目的とする低反発の金属製バットを導入するきっかけとなった。敗れた3回戦の作新学院戦以来となる聖地に「ベンチから見るのとは違って圧倒されますね」と感慨深げ。当時のチームメートたちとともに、弟を始めとした後輩たちへ熱心に声援を送った。