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飛び込み・玉井の価値ある銀 17歳したたかな戦略で中国勢蹴落とし 「目をつぶってもできる」必殺技鮮烈

スポニチアネックス / 2024年8月11日 2時31分

<パリ五輪・男子10メートル高飛び込み>銀メダルを手に笑顔の玉井(撮影・岡田 丈靖)

 ◇パリ五輪第16日 飛び込み(2024年8月10日 アクアティクスセンター)

 男子高飛び込み決勝が10日に行われ、22年世界選手権銀メダルの玉井陸斗(17=JSS宝塚)は507・65点で銀メダルを獲得した。日本飛び込み史上初の表彰台。1920年アントワープ大会で内田正練が初出場して以来、ようやく悲願がかなった。前日の予選を2位通過し、この日の準決勝は余力を残して3位通過。決勝では1、2位通過の中国勢の前に飛んでプレッシャーをかける狙い通りの展開で中国勢の一角を崩した。

 信頼する“相棒”とのメダルへのダイブ。玉井が踏み切りから入水の2秒弱に魂を込めた。5本目を大失敗で迎えた最終6本目。4本目までの大量リードに救われ、2位と2・75差の3位だった。命運を握る5255B(後ろ宙返り2回半2回半ひねりえび型)は「必殺技で相棒。目をつぶってもできる」と豪語する最も得意な技。決勝全選手の最高点99・00点を叩き出した。身長1メートル60の小さな体で、日本飛び込み界の悲願を達成し「凄く重みのあるメダル。実感が湧かないというか、信じられない」と感想を口にした。

 準決勝でメダルへの伏線を張った。踏み切りの出力を抑えて余力を残し、狙い通りに3位通過。決勝で1、2位通過した中国勢の前に飛び重圧をかける戦略だった。思惑通り、玉井の次の番の中国選手がミスを連発。一時は3位以下を大きく引き離し、もう一人の中国勢で東京五輪覇者の曹縁と一騎打ちになった。5本目で痛恨の30点台を出したが「心は揺れていたけど、今までやってきたことを信じた」と踏ん張った。

 五輪6度の出場を誇る寺内健さんに「僕は凡人、陸斗は天才」と言わしめる逸材。高難易率の109C(前宙返り4回転半抱え型)を初挑戦で成功させた逸話もある。14歳で出場した21年東京五輪は7位。順調に成長したが、ここ数年はケガに苦しんだ。昨夏の世界選手権は古傷の腰痛を再発して決勝を途中棄権。その後は腰の負担を減らすフォーム改善に取り組んだ。従来は身体能力に頼って回転していたが、腕の振り上げ方や足の使い方など技術を重視。体の負担が分散され練習で追い込んでも故障しなくなった。

 自身2度目の五輪で歴史を動かしたが「金メダルを獲れる位置にいるので次は獲ります」と早くも4年後に視線を向けた。ロスで日本飛び込み界の悲願に挑む。

 ◇玉井 陸斗(たまい・りくと)2006年(平18)9月11日生まれ、兵庫県宝塚市出身の17歳。神戸・須磨学園高3年。3歳で水泳を始め、小1から飛び込みに取り組む。19年4月の日本室内選手権でシニアデビューし、史上最年少12歳7カ月10日で制覇。同9月の日本選手権も史上最年少で制した。21年東京五輪7位入賞、22年世界選手権は銀メダルで日本勢初の表彰台。座右の銘は「勇気は一瞬、後悔は一生」。1メートル60、55キロ。

 ▽飛び込み 2023年度の日本水連競技者登録者数が300人ほどと、国内で盛んではない。1920年アントワープ大会で競泳選手の内田正練が日本勢として初めて五輪に出場した。これまで1936年ベルリン大会の男子板飛び込みの柴原恒雄と女子高飛び込みの大沢礼子の4位が最高だった。

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