今季2勝目を挙げた岩手初のツアー優勝者・米沢蓮の勝因をさぐる
スポニチアネックス / 2024年8月11日 19時39分
◇横浜ミナトチャンピオンシップ~Fujiki Centennial~最終日(2024年8月11日 神奈川県 横浜カントリークラブ 7207ヤード、パー71)
ツアー2勝目を挙げた米沢蓮の終盤の勝負強さは際立っていた。
最終組で一緒に回った阿久津未来也のコメントからその一端がうかがえる。
米沢は通算21アンダーのトップで迎えた16番パー4で第1打を左ラフに曲げ、第2打もグリーン右に外してしまう。3打目はピン手前3メートルに乗っただけだった。
1打差で追いかける阿久津からすれば、米沢がここでホギーを叩けば首位に並ぶチャンスだった。
「難しいアプローチを3メートルくらいに乗せるだけ。それが入ったというのが、彼に流れがいったのかなって思います」
大事なパーパットを決めてガッツポーズする米沢の姿が阿久津の視界に入った。
実は米沢は序盤でもミラクルショットを見せていた。
5番までに3バーディーを奪い、通算18アンダーで阿久津に並んだ直後の6番パー4。第2打をグリーン右バンカーに入れるピンチだったが、そこからピンまで10ヤードのバンカーショットをカップインさせている。ピンチが一転、バーディーとなり一気に首位の座を奪った。
阿久津が振り返る。「彼はほんと要所要所、グリーンを外して難しいアプローチやバンカーとかあったんですけど、寄ればパー。寄らなくてもパターでパー。揚げ句の果てにはバンカーからチップイン。多分、5回打っても1回寄るかなみたいなライで、ジャストタッチで入ったんです。あれで、なるほどと思いました。本当にショートゲームがじょうずというか、迷いなくやれる選手なので尊敬しますね。後輩ですけど」と素直に脱帽した。
ただ、そんな米沢も最近まではちょっとしたトラウマを抱えていた。
6月の日本ツアー選手権最終日。18番で決めればプレーオフに進出できる2メートルのパットを外し、ツアー初優勝を挙げた5月の中日クラウンズに続く今季2勝目のチャンスを惜しくも逃していた。
その後、ゴルフが不調に陥り、帯状疱疹(ほうしん)も発症。痛みから直近のトーナメントだった7月のセガサミー・カップを回避し、休養を余儀なくされていた。
医師からは疲労やストレスが原因と説明され「正直、自分ではストレスがたまっている感覚はなかったんですけど、体の健康的な部分にそれが出るというのは、知らず知らずのうちにストレスをため込んでいたのかなと思いました」と体調管理を見直すきっかけとなった。
そうした経緯を踏まえ、今週は暑さ対策を兼ねてラウンド後のショット練習を控える体力温存策を取った。
「無駄なエネルギーを練習やコース上で使わないように。最終日のバックナインで体力がないとプレーどころではないので。そこで勝負できるような体力を残すプランでした。今週はプラン通りのプレーができました」と胸を張った。
この優勝で今季の獲得賞金は5744万9040円でランキング3位となった。
「3勝目、4勝目を目指していくのは当然のことですけど、これで賞金ランキングがかなり良い位置にいったと思いますし、秋にかけて弾みがついたと思うので、ビッグトーナメントに向けて、自分自身が何ができるか考えていければ良いと思います」
岩手県出身初のツアー優勝者となった25歳は「周りで応援してくれている人の力は僕の原動力になっています」と引き続き花巻に拠点を置いて、高みを目指していく。
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