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阪神・高橋 1025日ぶり復活星 河川敷20キロ歩き「野球が嫌。情緒終わってた」苦悩振り返る

スポニチアネックス / 2024年8月12日 5時16分

<神・広>ウイニングボール手に声援に応える高橋(撮影・後藤 正志)

 ◇セ・リーグ 阪神4―0広島(2024年8月11日 京セラD)

 阪神・高橋遥人投手(28)が11日、広島戦(京セラドーム)で5回4安打7奪三振無失点の好投で21年10月21日の中日戦(甲子園)以来1025日ぶりの復活星を挙げた。21年11月6日のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(S)の巨人戦(甲子園)以来1009日ぶり1軍公式戦登板で躍動。引き分け以下で今季初めて自力優勝の可能性が消滅する一戦でチームの連敗を2で止め、岡田阪神を救った。

 力の戻った左手で復活の白星をもぎ取った。3年かけてたどり着いたマウンドで高橋が見せた5回4安打無失点の“ただいま”の快投。登板前に浴びた「おかえり」の大歓声が背中を押した。

 「(歓声は)もの凄く聞こえて。マウンドに上がる前の方がウルウルしたかなと」

 初回はアウト3つをすべて三振で奪った。直球の最速は自己最速の152キロに近づく149キロ。「ちょっと頼りすぎ」と首を振ったが、宝刀・ツーシームでゴロ凡打も量産した。4回2死満塁では代打・石原をスライダーで空振り三振。“らしく”控えめに吠え「今日一番良いボール。自分では選ばない。梅野さんにリードしてもらった」と振り返った。

 手首が原因不明の脱力に見舞われたのは4年前の20年9月。球速が低下し21年はテーピングを巻き、調整期間で一度もブルペン入りせずに本番のマウンドへ向かう日々だった。

 「キャッチボールもぐちゃぐちゃで投げにくくて。めっちゃシュートするし、ずっと不安がありながら投げていたので。痛いより、力が入らないのが一番きつかった」

 「どうやったら治るんですか!」と自暴自棄にもなった。球団のトレーナーに「歩いてきます」とだけ言い残して鳴尾浜を飛び出して向かったのは、武庫川の河川敷。宝塚まで往復20キロを無心で歩いた。「歩いてたら無になれた。報徳学園、阪神競馬場も過ぎて…。幼い子がサッカーやってた。あの時は情緒が不安定だった。夜は大丈夫なんだけど、とにかく野球の時間が嫌だった」。自室では登山家のYouTube動画を繰り返し見た。「死ぬかもしれないのにどんなモチベーションでやってるんだろ…」。リハビリという険しい“山道”を一歩ずつ上がってきた。

 22年に左肘のトミー・ジョン手術を受けたが手首の違和感は変わらない。複数の病院を回ってようやく三角線維軟骨複合体(TFCC)の損傷だと判明。左肩痛を併発も、光が見えた気がした。前例のない“メス”に投手生命を懸けた。昨年6月に左肩手術とともに受けた「左尺骨短縮術」は投手で復帰の例はない。手首という末端部分にメスを入れることを危惧する意見があった。「ボールを操る場所にメスを入れたら感覚が狂うリスクがあるし、触りづらい、と。医者の方もあまり進んでやらないみたいで」。それでも「手術しないと変わらない。やらなきゃ投げられない。逆にボールを握ることさえすればできると思った。やらない後悔よりは、やって後悔したい」とリスク承知で手術を決断した。

 直近4年で左肘を2度、左肩、左手首と4度の手術。左手首には今も固いプレートが残る。「肩、肘、手首、3カ所はやばいでしょ。それでも投げられるってことが、ケガしてる人にも伝われば」。同郷の先輩・岩崎からもらったウイニングボールは支えてくれた両親に渡す。「試合つくれるように、もう少し長いイニング投げられるように」。唯一無二の復活ロードをまい進していく。(遠藤 礼)

 【高橋遥人の左肘手術から復帰まで】

 ▽21年11月6日 巨人とのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第1戦(甲子園)に6回3失点で敗戦投手。登板中に左肘を押さえるしぐさを見せる。

 ▽同11月19日 左肘のクリーニング手術を受けたことを球団が発表。

 ▽22年4月26日 左肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(通称トミー・ジョン手術)を終えたことを球団が発表。

 ▽23年6月16日 左尺骨短縮術および左肩関節鏡視下クリーニング術を終えて退院したと球団が発表。

 ▽同11月17日 育成選手として契約更改。背番号は「29」から「129」に変更。

 ▽24年4月17日 ウエスタン・リーグのオリックス戦(鳴尾浜)で実戦復帰。893日ぶりの対外試合登板で最速147キロを計測して1回無失点。

 ▽同7月13日 同広島戦(由宇)で術後初完投。8回103球で9奪三振、2失点。

 ▽同7月20日 支配下登録選手復帰を球団が発表(22日公示)。背番号も「29」に復帰。

 ○…高橋(神)は21年11月6日、巨人とのCSファーストS第1戦(甲子園)以来1009日ぶりの1軍マウンド。勝利は同年10月21日の中日戦(甲子園)以来1025日ぶり。広島戦はこれで通算6試合3勝3敗。デビュー戦の18年4月11日(甲子園)で初先発初勝利。翌19年7月7日の甲子園で2勝目の後、同年に3試合連続黒星を喫しており、今回5年ぶりの勝利となった。また、京セラドームの登板は19年8月9日の広島戦以来2度目。前回は7回5失点で敗戦投手だった。

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