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【スポニチスカウト部(24)】KMGホールディングス・木下里都 投手歴5年 最速156キロの新星

スポニチアネックス / 2024年8月13日 6時2分

7月の都市対抗で衝撃の全国デビューを果たしたKMGホールディングスの木下

 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手の素顔を紹介する。第24回は社会人野球・KMGホールディングスの156キロ右腕・木下里都投手(23)。福岡大1年夏に投手に転向後、5年弱でドラフト候補へ上り詰めたワンダーボーイの足跡をたどる。

 東京ドームがどよめいた。社会人野球No・1を決める都市対抗野球が行われていた7月23日。中央球界では無名の木下が、日本製紙石巻戦で初球に153キロを計測し、4回2死三塁では156キロをマークした。全国デビューは3回2/33失点とホロ苦かったが、衝撃は残した。

 「真っ向勝負の真っすぐだけじゃ全国では厳しい。でもそこは変えず、アレンジを加えて一回りも二回りも成長したい」

 156キロは大会最速だった。カットボールやツーシーム、カーブも交ぜるが、勝負球の直球が制球よくコースに決まらずに痛打される場面が目立った。それでもポテンシャルは十分だった。

 福岡舞鶴では試合終盤に登板する以外は主に遊撃を守った。福岡大進学後は強力なライバルがおり、野球は大学でやめるつもりで投手転向を直訴。4年生の時に出場した全日本大学選手権では、準々決勝の上武大戦に先発し5回無失点も3四球など、当初は制球に苦労した。だが、野球を続けて進んだ社会人では、ソフトバンク2軍投手コーチ時代に千賀(メッツ)を育成した加藤伸一監督に投手の心得を説かれ、マウンドで自滅する場面は減った。2年目の今季は球速も4キロアップ。都市対抗は結果こそ残せなかったが、ネット裏の日本ハム・山田正雄スカウト顧問は「魅力があります。右打者の内角をどんどん攻めていく姿勢もいい」と評価した。

 「最終的な目標はプロですけど…。ここまで成長できるとは思わなかったので良かった」と木下。ドラフトを前にさらなるアピールを誓う。9月12日開幕の日本選手権九州予選では会社への恩返しも胸に「自分が全部投げるつもり」と右腕を振る。 (伊藤 幸男)

 ◯…木下の憧れは日本ハム・伊藤だ。既に今季2度のマダックス(100球未満での完封勝利)を達成した右腕。フォームを一時見本にしたこともあった。「投球ももちろんですけどマウンドでのたたずまい、余裕がいいんです。楽しそうに投げられるのが一番ですかね」。伊藤のYouTubeも「メチャクチャ見ています」と笑った。

 ☆球歴 福岡市・小田部小1年から原北ウイングス少年野球クラブで野球を始める。原北中では白龍ベースボールクラブに所属。福岡舞鶴では1年夏からベンチ入りし同年秋から正遊撃手。福岡大1年夏に投手に転向。

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