成長途上のエンゼルス 大谷翔平、トラウトに学んだ男が再建のカギ握る「経験は今の私の助けになっている」
スポニチアネックス / 2024年8月13日 12時46分
現地8月11日まで52勝66敗と低迷しているエンゼルスは、地区首位のアストロズに10.5ゲーム差でプレーオフ進出は絶望的な状況だ。とはいえ、8月上旬はメッツ、ヤンキースとの3連戦にどちらも勝ち越すなど、少しずつ上昇気配。8日までのヤンキースタジアムでのシリーズでは22歳のシャヌエル、23歳のネト、25歳のアデル、24歳のオホッピー、23歳のジョイスがそれぞれの形で貢献するなど、成長中の若手の活躍が目立ったのが印象的だった。
1番打者として起用されているシャヌエルも確実に向上している。8日は先頭打者本塁打を放つなど3安打2打点。7月は打率.316、3本塁打、出塁率.455、OPS.949と好調だった若武者が生き生きとプレーしていた。8日の試合後、クラブハウスで声をかけると、「メジャーで経験を積んだおかげで少し快適にプレーできるようになったかな」とうれしそうに表情を崩した。
大谷翔平の日々に注目してきた日本のファンなら、ここまでのシャヌエルの軌跡にはなじみがあるのではないか。2023年のドラフト1巡目全体11位でエンゼルスから指名を受けると、昨年8月19日にプロ入りからわずか1カ月でメジャー昇格。デビューから10試合連続安打、29試合連続出塁を続け、例によって下位に沈んだチームで数少ない好材料となった。今季はロン・ワシントン監督の指揮下で1番に定着し、すでに12本塁打(昨季は1本塁打)とパワーアップが目に付く。
「このレベルでのプレーは決して簡単ではないけれど、なじみの顔(若手)と毎日、顔を合わせ、同時にベテランからも助言がもらえる。おかげで楽しくプレーできているし、そんな中で自信がついてきたんだと思う。(本塁打増加は)オフの間にパワーアップに努めたことも響いてきているのかもしれない」
試合後も若手の笑い声が絶えず響き渡るクラブハウスは、ほんの1年前まで大学生だった若者にとってやりづらい環境ではないのだろう。
その一方で昨季のメジャー昇格直後、歴史的なスーパースターと一緒にプレーした記憶もまたいい思い出になっているようだ。2023年はわずか29試合だったが、大谷の凄さと周囲を喧騒させるさまを間近で見ることができた。取材の最後に「大量の日本メディアがいなくなってエンゼルスの雰囲気も違うのでは」と振ると、シャヌエルは自ら、大谷の名前を出して熱っぽく話し出した。
「翔平は今ではLAの他のチームにいて、状況が大きく変わった。フリーウエー・シリーズで久々に会って、近況報告できた。彼は本当にいい男で、多くを学んだよ。今でもその点は変わらないけれど、同じチームでプレーできたことで得たものはやはり違った。去年、一緒にいられた経験は今の私の助けになっていると思う」
2023年は大谷、今季もケガがちとはいえマイク・トラウトの姿を目の前で見ることができるのは確かに貴重な経験に違いない。その上で、再建状態のチーム内で優先的にプレーできることの意味も成長途上の若手にとっては大きいはずだ。エンゼルスが勝てるチームになるのはまだまだ先のことになりそうではあるが、適切な環境の中でプレーするシャヌエルがどこまで成長していくか、楽しみに見守っておきたい。(記者コラム・杉浦 大介通信員)
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