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【内田雅也の追球】熱い秋を迎えるために

スポニチアネックス / 2024年8月17日 8時1分

<中・神>9回、遊飛に倒れた森下(撮影・須田 麻祐子)

 ◇セ・リーグ 阪神1―2中日(2024年8月16日 バンテリンD)

 阪神は「スミ1」で敗れた。安打は3本、うち2本が内野安打という貧攻だった。

 初回先頭、近本光司の一打が中日・小笠原慎之介の左肘に当たり、結局この回で降板。先発投手の1回降板は有利な材料のはずだが、2回表以降は1安打と沈黙した。

 試合時間2時間29分。実にあっさりと敗れたものである。もちろん、選手たちは懸命にやっているのだろうが、悲しいかな、見る側には粘りも覇気も伝わってこない。

 森下翔太は外角変化球を引っかけての凡ゴロ2本に高めを打ち上げた凡飛2本。佐藤輝明はタイミングが狂った三振2個だった。監督・岡田彰布は「ホームランばっかり狙ってるんちゃう」と指摘する。本塁打の出づらいバンテリンドームに応じた打撃姿勢がほしい。

 この日は台風の影響で首位広島、2位巨人の試合が中止となった。上位との差を詰めるチャンスだったというのに、どうしたことだろう。

 「あきらめないやつを負かすことはできない」と言ったのは「球聖」とも呼ばれたベーブ・ルースである。この日8月16日が命日だった。1948年、がんのため53歳の若さで逝っている。

 ルースの言う通り、あきらめてはすべてが終わる。連覇を目標に掲げて船出した志をいま一度、思い返したい。

 観衆3万6298人の大入り。阪神ファンも多く詰めかけていた。夏休みの週末、少年少女、家族連れの姿も目立った。

 ルースは子ども好きだった。病床の少年に「君のために本塁打を打つ」と約束し、本当に放った逸話は有名だ。

 ポール・ギャリコの短編『聖バンビーノ』=『ゴールデンピープル』(王国社)所収=では、戦争で父親を失った少年の枕元に何と天国にいるベーブ・ルースが現れる。少年に「野球をする男になるんだ」と説いて聞かせる。「それは、ありとあらゆるものを必要とする。体調、協調、スピード、科学、ノウハウ、それから根性。根性がないと、野球はできない」

 この言葉をいまの阪神におくりたい。体調を整え、協調でチーム一丸となり、根性という反骨心を見せてもらいたい。野球をする男ではないか。

 京都では五山の送り火だった。暑い暑いと言っていた夏もじきに終わる。秋が静かに近づいている。熱い秋を迎えるためにも、あきらめてはいけない。 =敬称略= (編集委員)

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