ソフトバンクは優勝M23 大卒2年目左腕・松本晴が5回2安打無失点でプロ初勝利

＜ソ・ロ＞プロ初勝利を挙げた松本晴（右）はウイニングボールを手に小久保監督から祝福される（撮影・成瀬　徹）　　　　　　

　◇パ・リーグ　ソフトバンク2ー1ロッテ（2024年8月18日　みずほペイペイD）

　ソフトバンクの大卒2年目左腕・松本晴投手（23）が、昨年8月の楽天戦以来2度目の先発でプロ初勝利を飾った。ロッテ打線に二塁を踏ませず、5回2安打無失点。今年3月の故障をきっかけに見直したフォームで直球の威力が急上昇し、この日も最速149キロの直球を軸に抑えた。チームは9カード連続勝ち越しとなり、12球団70勝一番乗り。2位の日本ハムも敗れ、優勝マジックは一気に2つ減り、23となった。

　今季初登板とは思えないほどの堂々とした投球だった。5回2安打無失点。2年目の松本晴が完璧な投球でプロ初勝利を挙げた。

　「初回に走者が出た場面もありましたけど、去年のように打たれたらどうしようと考えず、やってきたことを出すだけと思って投げられました」。プロ初先発の昨年8月楽天戦は4回途中5失点KOだったが、この日は成長した姿を見せた。

　球数はわずか68球。最速149キロだったキレ味抜群の直球に変化球を交えてロッテ打線を封じた。4番ソト、5番の佐藤にはチェンジアップ、スライダーを決め球に2人合わせて4度の対戦で3奪三振。2安打も詰まった当たりの左前打と内野安打で、二塁を踏ませることもなかった。

　今年3月下旬に右太ももを痛めた。約3カ月のリハビリ期間で大きく“進化”を遂げた。昨季は140キロ台前半～中盤だった平均球速が、復帰後は140キロ台後半にまで伸び、最速は150キロもマークした。きっかけは同じ期間にリハビリ調整中だった尾形の存在が大きかったという。

　2人でフォームや最先端のトレーニング方法などについて毎日のように議論を重ねた。「フォームのことを熱心に考えている方なので。情報交換しながら取り組めたことが良かった」。ドラフト同期の大津を参考に「細い投手で150キロを投げられるのは体の使い方がうまいから」と考え、フォームの無駄な部分を削り、足、体の使い方から見直した。

　取り組みの中で意外な大物の“アドバイス”も生きたという。元サイ・ヤング賞右腕として昨季DeNAでプレーしたバウアーの会社が開発した投球用アプリを取り入れ、リハビリ初期に投球の動作解析をしてもらった。自らに合わせて出されたドリル（練習メニュー）も効果的だったことを実感している。

　最高の投球に小久保監督は「次も当然チャンスはあります。一番強力なロッテ打線に見事な投球だった」と脱帽。倉野投手コーチも「リハビリから復帰1試合目を見て衝撃を受けた。ケガする前と全然、違うなと思った。期待通りの投球をしてくれた」と称えた。

　これでチームは9カード連続勝ち越し。両リーグ70勝一番乗りとなった。歓喜の瞬間に向けてマジックは23と着々と減っている。ラストスパートへ台頭した新星左腕は頼もしい存在となりそうだ。　（木下　大一）

　◇松本　晴（まつもと・はる）2001年（平13）2月24日生まれ、大阪府出身の23歳。樟南では3年夏の鹿児島大会で20奪三振も甲子園出場はできず。亜大では1年春のリーグ戦から登板。3年春に左肘トミー・ジョン手術から4年春に復帰し、リーグ戦と大学選手権優勝に貢献した。22年ドラフト5位。背番号49。1メートル81、88キロ。左投げ左打ち。

　【元亜大監督の生田勉氏へ直撃コール】

　――松本晴投手が初勝利を挙げました。

　「初回は緊張も見えましたが、2回以降は自信を持って投げていましたよね。100点満点です。本人には“120点だった”とメールを入れました」

　――大学時代の印象を教えてください。

　「上を目指そうという意識をしっかり持った選手でした。“トレーニングおたく”じゃないですけど、遊びだったりに時間を割かず、体のケアやトレーニングに興味を持っていましたね。故障もありましたけど、その後には（ドジャースの）大谷君も肘に巻き使っていた測定器（パルススロー）で、しっかり（肘の負荷の）データを取ったりしていましたね」

　――今後への期待を教えてください。

　「今年メジャーリーグの公式戦を12試合ほど球場で見ました。今日の晴の投球はテレビでしたけど、全然負けてないですよ。2回からの4イニングに関しては各チームのエース格と遜色ないほどの投球だったと思ってます。人間、自信をつけると凄いですから。どんどん自信をつけていって欲しいです」