K2で滑落した登山家の平出和也さんと中島健郎さん 所属先が「追悼の意」 功績称え「最終報告」

中島健郎さん（左）と平出和也さん。平出さんのインスタグラム（＠official_kazuya_hiraide）から

　パキスタンにある世界第2の高峰K2（8611メートル）で滑落し、救助打ち切りとなっていた同社所属の山岳カメラマンでクライマーの平出和也さん（45）＝長野県出身＝と中島健郎さん（39）＝奈良県出身＝について、2人が所属する登山用品販売の石井スポーツは22日、公式サイトで「最終報告」を掲載。2人の功績を称えるとともに「追悼の意」を示した。

　「最終報告」では「2024年7月24日、平出和也と中島健郎によるK2西壁未踏峰ルートのチャレンジは、両名の滑落という事故により終了することとなりました」とし、「下記報告をご心配をおかけした方々へ向けた最終報告として、今回のK2プロジェクトを終わりたいと思います」と伝え、事故発生から救助活動終了までの経緯を改めて掲載した。

　そして「両名は数々の未踏ルートにチャレンジし、日本のみならず世界の登山界に大きな功績を残しております。その成果は私たちにも大きな影響を与え、多くの人々から敬愛され信頼をされておりました。平出和也と中島健郎が遺した功績は、これからも登山業界の指針となり続けます。ここに両名の活躍を称え、追悼の意を表します」と発表した。

　2人は日本時間の7月27日午前11時半ごろ、K2西壁で登山中、約7千メートル地点で滑落した。現地で手配したヘリコプターのパイロットが同日、2人の位置を確認したが着陸はできなかった。地上からの救助も難しいとの報告もあったという。

　7月30日、2人に動きがないとの情報が伝えられ、2人の上部に大きな亀裂があって崩落による二重遭難の恐れがあることなどから、家族の同意の下で同日午後2時、救助活動の終了を決めた。

　平出さんは中国やパキスタンの名峰に挑み、未踏ルートの開拓に尽力。2013年には、当時80歳の世界最高齢でエベレストに登頂した冒険家三浦雄一郎さんに同行して撮影した。中島さんは未踏峰2座の登頂に成功。日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」イモトアヤコエベレスト登山企画にも参加した。フランス登山界の権威ある「ピオレ・ドール（黄金のピッケル）」賞を平出さんは3回、中島さんは2回受賞している。