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【内田雅也の追球】長打連発で4番らしい働き 今の佐藤輝には「打撃」以上にひたむきな「姿勢」がある

スポニチアネックス / 2024年8月24日 8時2分

<広・神>初回先制の適時三塁打を放つ佐藤輝(撮影・北條 貴史)

 ◇セ・リーグ 阪神3-1広島(2024年8月23日 マツダ)

 マツダスタジアムの選手・関係者通路はよく声が響く。勝利直後の阪神ベンチ裏では、いつにも増して大きな雄たけびがあがっていた。

 佐藤輝明が4番らしい働きをした。1回表に先制の中越え三塁打、5回表に追加点の右翼線二塁打と価値ある長打を連発したのだ。

 もちろん打棒は素晴らしい。それ以上に目に映ったのは姿勢である。

 試合前。午後4時からの阪神練習時間は風が全く吹かずに蒸し暑い「瀬戸の夕なぎ」にあった。じっとしていても汗が噴き出てくる。ヘッドコーチ・平田勝男が「真夏より暑いな。季節感が狂うよ」と嘆いていた。

 そんな蒸し風呂のようなグラウンドで佐藤輝はノックを受けていた。汗だくになりながら、白球を追っていた。苦手とされる三塁線ゴロの逆シングル捕球を繰り返した。あの汗に、ひたむきさがにじみ出ていた。

 今年5月15日、2軍行きを命じた理由を監督・岡田彰布は打撃不振以上に「姿勢」だと指摘していた。テレビ番組で掛布雅之に明かしている。「全部が全部打てるわけじゃない。打てなくても悔しがる姿とか、姿勢や内容を含めてね」

 いまの佐藤輝にはそんな姿勢があると言いたい。9回裏2死一塁、三塁線ゴロに逆シングル横っ跳びしたが抜かれ、二塁打となった。顔に悔しさがにじんでいた。

 先発左翼に抜てきされた小野寺暖はもともと、そんなひたむきさ、泥くささが見える選手だ。4回表には2点目につながる三塁打を放った。ヘッドスライディングは象徴的なプレーだった。

 5ゲーム差で追う広島との直接対決。逆転優勝には3連勝がほしい。

 この日、甲子園で決勝が行われた高校野球の必死さである。オリックスで球団代表を務めた井箟重慶が優勝争いでの戦いぶりに「負けても明日があるプロも最後は甲子園球児に戻る」と話していたのを思い出す。

 元日本代表監督・栗山英樹は日本ハム監督時代「全試合、甲子園決勝戦のつもりで戦うことはできる」と話していた。「プロは毎日試合があるから……というのは甘えではないかと思う」

 いまの阪神はそんな一戦必勝の気概、負ければ終わりの覚悟がいる。

 3連戦の初戦を取った。相手も必死だ。むろんこちらも必死だ。甲子園大会決勝の思いで臨みたい。 =敬称略= (編集委員)

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