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【内田雅也の追球】阪神、正念場のシーズン終盤 敗戦の痛みや悩み、苦しみを熱にかえ自ら燃えよ

スポニチアネックス / 2024年8月25日 8時2分

<広・神>3回、先制を許した門別(左)の向こうで厳しい表情の岡田監督(撮影・北條 貴史)

 ◇セ・リーグ 阪神1-2広島(2024年8月24日 マツダ)

 敗戦後の会見を早々に切り上げた阪神監督・岡田彰布は「門別君は……」の質問を無視した。バスに乗り込む前、「まだ君付けしとるで」と吐き捨てるように言った。

 西本幸雄を思う。近鉄監督に就任した当時、番記者が若き主砲、栗橋茂を「クリ」「クリちゃん」と呼ぶのを「やめろ」と怒鳴った。「ウチの3番を軽々しく呼ぶな」というわけだ。後に「栗橋を一人前にしたかったんや」と言った。

 左腕・門別啓人は先月20歳になった。球場のアナウンスが「門別君」から「門別」となって2年になる。3カ月ぶりプロ3度目の先発で5回、6安打を浴びながらの2失点は上々かもしれない。

 ただし、優勝争いへの正念場のシーズン終盤である。将来への期待も込め「よく投げた」という時期ではない。春先ならともかく、今や勝った負けたの結果だけが問われる時なのだ。そんな厳しい日々を過ごしている。

 ちなみに岡田は選手を下の名前や愛称で呼ぶのも嫌う。それはプロとして「一人前」として扱いたいからだろう。

 試合は門別が失った2点を必死で追いかけた。グラウンド整備明けの6回表、広島先発・大瀬良大地の制球難につけ込んで1点を返した。

 痛恨だったのは7回表は無死一、二塁での送りバント失敗(スリーバント失敗で三振)だろう。木浪聖也はボール球を続けて追いかけていた。

 確かに難しい局面のバントだった。重圧もあろう。だが、この壁を乗りこえない限り、勝利はない。どうすればいいか。

 「人には燃えることが重要だ」とパナソニック創業者、松下幸之助の名言にある。「燃えるためには薪(まき)が必要である。薪は悩みである。悩みが人を成長させる」。悩み、苦しんで熱をつくるのである。

 思えば、京セラ創業者、稲盛和夫の命日だった。一昨年、90歳で没した。著書『生き方』(サンマーク出版)で、ものには3つのタイプがあるとしている。火を近づけると燃える可燃性のもの、燃えない不燃性のもの、そして勝手に燃え上がる自燃性のもの。<物事をなすには、自ら燃えることができる「自燃性」の人間でなくてはなりません>。

 追う阪神には痛い敗戦だが、これからの1敗はすべて痛い。痛みや悩み、苦しみを熱にかえ、燃える季節である。

  =敬称略= (編集委員)

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