初の米ツアー取材は緊張と波乱の連続 古江選手の歴史的Vと、名優集う全英OPの景色は忘れない

メジャー初優勝を飾り、トロフィーにキスする古江（AP）

　【山手あかりのエキストラホール】ついにこの日が来てしまった。海外出張が決まってから、考えるのはそのことばかり。楽しみ、緊張、不安…。いろんな感情を抱えながら7月7日に日本を飛び立った。約20時間のフライトを経て、ジュネーヴ空港に到着。そこから1時間半ほど車に揺られ、エビアン選手権が行われるフランスのエビアンにたどり着いた。

　初のヨーロッパに初の米ツアー取材。初めて尽くしの出張が幕を開けた。大会開幕前には笹生優花選手と初対面した。全米女子オープンを2度制した実力者を前に少し緊張してしまったが、フレンドリーな性格で時折見せる愛らしい笑顔がとても印象的だった。「ゴルフやってましたよね？」。取材後には笹生選手から逆に質問を受けた。「えっ！なんで分かったんですか」と返すと、ニヤリと笑みを浮かべながら練習場へ向かった。なにかゴルファーに共通するものがあるのだろうか――。また取材する機会に恵まれたら、是非聞いてみたい。

　大会最終日には歴史的な瞬間に立ち会えた。古江彩佳選手が終盤に圧巻のチャージを見せ、涙のメジャー制覇。表彰式ではパラシュートで日の丸の旗が降りてくる素敵な演出もあり、ただ見ているだけだった私も胸がいっぱいになった。

　エビアン選手権の取材を終えると、すぐさま全英オープンが行われる英国トルーンへ向かった。ゴルフ好きな方なら誰もが一度は現地で観戦したいと思う世界最古のメジャートーナメント。記者もその一人で、小学生の頃は登校時間ギリギリまでテレビ中継にくぎ付けになっていたことを思い出す。あの頃見ていたウッズ選手やミケルソン選手ら往年の名プレーヤーたちも出場しており、ゴルフ好きにはたまらない夢のような時間だった。

　いろいろなことがあった2週間。航空機の乗り継ぎで迷い、ツアー客の後を必死で追いかけたり、機内でオレンジジュースを頼んだら、熱々の紅茶が出てきたり…。私の乏しい語学力のせいで珍道中になってしまったが、7月下旬に無事帰国することができた。どっと押し寄せる疲労感とともに充実感が心地よかった。

　◇山手　あかり（やまて・あかり）1999年（平11）1月7日生まれ、大阪府出身の25歳。8歳からゴルフを始め、大阪桐蔭高、名古屋商大ではゴルフ部に所属。2021年4月入社。デジタル部門を経て23年1月からゴルフ担当。ベストスコアは69