阪神・佐藤輝 打点挙げればチーム勝率・821 残り24試合、打点量産でアレンパの使者なるか

ティー打撃を行う阪神・佐藤輝（撮影・北條　貴史）

　球団史上最速の快挙で、大逆転優勝への弾みをつける。阪神は30日、長期ロード明け初戦の巨人戦（甲子園）が台風10号接近のため中止となり、甲子園球場で約2時間の全体練習を行った。28日DeNA戦（横浜）で4番から6番に降格した佐藤輝明内野手（25）は、フリー打撃で快音を連発。プロ野球11人目、球団史上最速となる「入団4年目300打点」まであと10に迫る和製大砲こそ、逆転連覇への真のキーマン。今季、打点を挙げた試合では勝率・821を誇る背番号8が、頂点へ向けてさらに打点を積み重ねるべく意欲を示した。

　9月の足音がはっきり聞こえるのに、雲の隙間から差し込む日差しに容赦はない。「暑いっすよ」。額の汗をぬぐいながら佐藤輝は軽快に黒土を駆けた。開場100周年の1日巨人戦以来29日ぶりの聖地・甲子園。「伝統の一戦」第1ラウンドは台風10号の影響で午前11時に中止発表。きょう31日に仕切り直す大反撃の主役こそ、背番号8に他ならない。

　「ホームランを打てれば最高ですけど、でも点を取ったら勝てる。点を取れるように、ずっとやっています」

　山あり谷ありだったプロ4年目のシーズンも残り24試合だ。逆転連覇へとひた走る佐藤輝は、これまで通算290打点。プロ野球11人目、球団史上最速となる「入団4年目300打点」へあと10に迫っている。今季、打点を挙げれば30試合で23勝5敗2分け、勝率・821。5ゲーム差の首位・巨人猛追、そして大逆転優勝へ、佐藤輝の打点は不可欠だ。

　嵐の前の静けさ、と捉えたい。直近4試合で16打数1安打。守備の乱れもあり、状態はやや下降気味に見えるが、7月下旬から今月上旬にかけては無双状態だった。14試合連続安打に8試合連続マルチ安打、11試合連続得点。その裏には球宴休みに施した打撃フォームの微修正があった。

　右足の上げ幅を少なくし、踏み出すスタンスを狭め、体の突っ込みを抑制することで、投球との距離を取り、ミート確率を上げた。「ちゃんと当たれば長打になる。そこを意識する方が大事」。責務の打点量産へ、この日の打撃練習でもフォームを再確認。得点圏打率は大山、森下に続くリーグ3位・330を誇る。シーズン打率・263と比較しても際立つ勝負強さを、決戦の秋でも発揮したい。

　「あの打率で、あんなええんやな。俺もビックリしたけど。（得点圏に走者が）いてない時よっぽど打ってない、いうことやな、通算打率からしたらな。そんなうまいこと、ランナーがいてる時ばっかり打たれへんで。俺もビックリしたわ」

　岡田監督も目を丸くする佐藤輝のクラッチヒッターぶり。もちろん無走者、走者一塁での豪快弾も大歓迎。和製大砲が「300」を通過点にできれば、猛虎はおのずと浮上する。（八木　勇磨）

　◯…阪神の森下、佐藤輝、大山の中軸トリオが今季ここまで打点を挙げた試合のチーム勝率を比較すると

佐藤輝＝30試合23勝5敗2分け、勝率.821

森下＝41試合30勝11敗、同.732

大山＝37試合24勝12敗1分け、同.667

となっており、佐藤輝が打点を挙げた試合が最もチームの勝率が高い。

　○…佐藤輝（神）は通算290打点。入団4年目で300打点に到達した日本選手は今季7月15日の牧（D）まで10人おり、阪神で達成すれば佐藤輝が初めて。

　≪熊谷に弟子入り≫守備力強化に向け佐藤輝が熊谷に弟子入りした。遊撃定位置で送球、ステップのアドバイスを受けた。「話しながら何か（ヒントが）あるかなと思って。（内容は）言えないっす」と詳細は伏せたが、意欲的に確認を続けた。熊谷からは「ちょっと慌てて投げすぎている。ステップとのバランスが合っていないから悪送球になりやすい」と指摘を受けたという。ここまで自己ワーストタイの20失策。「輝明の守備がしっかりしたら、打撃も安定する」と熊谷も進歩を期待した。