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佐藤弘道の妻が明かす“奇跡の歩行”支えた献身愛 涙を見せないように何度もぬぐって笑顔で病室へ

スポニチアネックス / 2024年8月31日 6時18分

佐藤弘道と久美子夫人

 【インタビュー】脊髄梗塞のため2カ月の入院・加療を経て今月20日に「奇跡的に歩くことができるようになりました」と退院を報告した「ひろみちお兄さん」ことタレントの佐藤弘道(56)は、有効な治療法が確立していない原因不明の珍しい病気に襲われ、入院先では「死にたい」とまで落ち込んだ日々を送っていた。傍らで励まし、驚異の回復へ背中を押したのが、個人事務所社長で妻の久美子さん(55)。精神的にも肉体的にも追い込まれた夫に妻はどんな言葉をかけ、どう寄り添ったのか。(鈴木 美香)

 病魔が突然夫を襲った。6月2日、夫婦で出張のため搭乗していた機内で、佐藤が背中から腰に掛けての激しい痛みを訴え、苦しんでいた。久美子さんは「陣痛みたいな痛がり方でした」と振り返る。到着後すぐに向かった鳥取県内の病院でそのまま緊急入院。ベッドの上の夫は「もう僕は治らない」と落ち込むばかり。「そんな姿は初めて見た」と久美子さんもショックを受けたという。

 発症頻度が脳梗塞の1~2%ほどの珍しい疾患「脊髄梗塞」。脊髄の血管が詰まり、神経が機能せず、まひなどの症状が出て歩行困難になるケースもある原因不明の病気だ。佐藤本人は「下半身の感覚がなくなっていて歩けませんでした。尿意も便意も感じず、尿管を付け、おむつも外せなかった」という状態で「検索すると有効な治療法もなく、治るかどうかも分からない。歩けずにおむつが外せない生活が続くのかと悩んで死にたいとも思った」というほど追い込まれていた。食事もとらず、笑顔も消え、言葉も少なくなった姿に「どんな時でも前向きだったパパがこんなふうになるなんて」と久美子さんも驚くばかりだった。

 2人は大学の体操部の同級生で1994年に結婚。11月で夫婦生活30年になる。長い年月をともにしてきたが、夫の絶望する姿を初めて目にして「息子2人と“絶対にパパの前では泣かないようにしよう。佐藤家らしく笑顔を絶やさないようにしよう”と決めました」。

 それでも、個人事務所社長として、入院を伝える仕事先への電話口で、泣いてしまうことが何度もあった。佐藤の見ていないところでそっと涙をぬぐい、笑顔になって病室へ戻った。

 2人の息子がサプライズで突然見舞いに来て笑わせようとしたり、「退院したら食べたいものは?」など明るい話題が家族LINEで送るなど、家族は全力でエールを送った。そして、全国から続々と届いた応援メッセージ、仕事でかかわった幼稚園、保育園などの子供たちからの千羽鶴…。「勇気づけられました。一歩でもいいから歩きたいと思いました」とようやく前を向いた佐藤はリハビリに懸命に取り組むようになり、病院関係者が驚くわずか2カ月での歩行を遂げた。

 久美子さんの誕生月は9月。「なんとか結婚記念日までに退院したいと言ってくれていましたが、私の誕生日に間に合わせてくれました」。苦しい思いを乗り越え、リハビリに取り組んだ夫と支えた息子たちとお祝いをするつもりだ。

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