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【内田雅也の追球】「高低」を巡る攻防

スポニチアネックス / 2024年9月1日 8時1分

<神・巨>6回2死一、二塁、外角低めをとらえた佐藤輝の逆転3ラン(撮影・大森 寛明)

 ◇セ・リーグ 阪神4―2巨人(2024年8月31日 甲子園)

 阪神・佐藤輝明は低めを打つのが得意なローボールヒッターである。

 NPB統計・分析サイト「翼」にはストライクゾーンを9分割、周囲のボール球も合わせて計25分割したコース、球種別の成績がある。高打率のコースはより赤く、低打率はより青く色づけした「地図」で、「ヒートマップ」と呼ばれる。

 佐藤輝はストライクに限った低め3コースで計59打数26安打、打率4割4分1厘、6本塁打とほぼ真っ赤だった=成績は30日現在。以下同=。

 逆転決勝3ランはその低めを打った。0―2の6回裏2死一、二塁、1ボール1ストライクから戸郷翔征の外角低め、150キロ速球を左中間席まで運んだ。左翼への浜風は吹いていなかった。

 先の「マップ」で戸郷の対左打者の外角低めを見ると、16打数2安打、被打率1割2分5厘と青く、被本塁打0だった。この難球を左打者が反対方向の左中間最深部まで運んだのである。

 「強引にいかず、あっち(左中間)に打ったのが良かった」と監督・岡田彰布は話した。会見の輪がとけ、得意な低め打ちについて突っ込むと「やっぱり、投手はピンチになると高めは怖いんよ。低め低めといきたくなるもんよ」と言った。

 むろん戸郷も佐藤輝の低め好きは承知している。走者なしでの前2打席は高め速球、低めフォークの配球で連続三振。だが走者を背負い、慎重さを要した、あの打席は高め速球空振りの後、低め速球でいった。これを佐藤輝は一撃で仕留めた。

 打球に角度をつけ、一発長打を狙う大リーグの「フライボール革命」は日本にも波及している。投手は「高め」で対抗するのが常道とされる。

 阪神・才木浩人は高め速球の使い手である。「マップ」では25分割中、高め10コースの合計で82打数15安打、被打率1割8分3厘と封じていた。

 この夜は1回表、浅野翔吾、ココ・モンテスにいずれも追い込んでから高め速球を長短打され、リズムが狂ったかもしれない。その後、変化球をさらに3連打された。

 それでも32球を費やし、この初回を2点でしのいだ。その後の修正、辛抱が逆転を呼んだ。

 開場100周年式典があった8月1日以来の甲子園だった。台風一過の美しい夕焼けとトンボの群れが迎えていた。

 さあ、9月。セプテンバー・ヒートのドラマを楽しみにしたい。 =敬称略= (編集委員)

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