比嘉大吾は無念…武居由樹からダウン奪うも6年5カ月ぶり世界王者返り咲きならず
スポニチアネックス / 2024年9月3日 20時25分
◇プロボクシングWBO世界バンタム級タイトルマッチ 王者・武居由樹(大橋)<12回戦>同級1位・比嘉大吾(志成)(2024年9月3日 東京・有明アリーナ)
元WBC世界フライ級王者でWBO世界バンタム級1位の比嘉大吾(29=志成)は同級王者・武居由樹(28=大橋)に0-3の判定で敗れ、約6年5カ月ぶりの世界王座返り咲きを逃した。
2階級制覇はならなかった。体重超過、王座剥奪、ライセンス停止処分、階級変更にジム移籍、日本人対決に敗れての地域王座陥落…。苦しみ抜いた日々をぶつけたリングで奮闘したものの、ベルトには届かなかった。接近する際の武居のアッパーに苦しみ、武器の左フックは照準が合わなかった。それでもフックを叩き続けてひるまず、中盤以降は左のジャブで突き放した。11回にはスリップ気味ながら左フックを側頭部に当ててダウンを奪取。しかし、肝心の12回に武居の猛攻を浴びて追い込まれ、ジャッジの採点は1点差が2人、3点差が1人だった。
野木丈司トレーナーのフィジカルトレーニングに参加していた武居との顔見知り対決。K―1出身選手対策として、ムエタイのラジャダムナンスタジアム3階級制覇王者の吉成名高(23)とスパーリングも行ってきたが、どの角度からでも当ててくる武居の当て勘と、ボクシングでの成長は想像以上だった。
18年4月のWBC世界フライ級3度目の防衛戦の前日計量で体重超過。王座を剥奪され、試合でもクリストファー・ロサレス(ニカラグア)に9回TKO負けを喫した。体重超過によるライセンス無期限停止処分が明け20年2月に復帰したが、バンタム級では厳しいとも言われた。だが、デビュー時からコンビを組む野木トレーナーは変化を感じとっていた。4回TKO勝ちした昨年大みそかの試合数カ月後の練習中。「自分に勝つって気持ちいいですね」と比嘉が口にした。激しい練習に音を上げ、途中で投げ出すこともあった比嘉からは想像できない言葉だった。その数日後、野木氏は比嘉を喫茶店に呼び出し「ここからはちゃんと本腰を入れてやろう」と活を入れた。比嘉の練習に臨む姿勢が見違えるように変わった。
引き上げる比嘉に、有明アリーナの観衆から大歓声が降り注いだ。2つめの世界のベルトはつかめなかったが、元世界王者のプライドは示した12ラウンドだった。
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