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【浜田剛史の目】井上の計算通りの勝利 棄権しなければ、あと10秒もたなかった

スポニチアネックス / 2024年9月3日 23時4分

<ダブル世界戦 井上尚弥・ドヘニー>6R、左でボディーを叩く井上(撮影・長久保 豊)

 世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(31=大橋)が挑戦者でWBO世界同級2位のTJ・ドヘニー(37=アイルランド)に7回16秒TKO勝ちして4本のベルトを守った。井上が7回に入って攻勢を強めたところでドヘニーが顔をゆがめ、手で腰を押さえて棄権した。

 ドヘニーが試合を放棄した結末以外は、井上の計算通りの内容だっただろう。前回のネリ戦でスタートから前に出て、1回にダウンを喫した反省から慎重に入った。計量後11キロ体重が増加した相手のパンチ力も警戒していたと思うが、数字を見るより体で確認することで一番わかる。ガードを固めて、ブロックの上から打たせて力を見極めていた。

 徐々に攻勢を強めていって、6回にボディーを完全に効かせた。そして7回にはKOを狙って攻めにいった。ドヘニーは自ら棄権を申し出たが、あのまま続いていたならば、あと10秒はもたなかっただろう。

 ドヘニーはどう攻めていいかわからなったと思う。井上のガードは固く、表情も変わらないので、効いているかどうかもわからない。どこかで勝負を仕掛けようと思っていても、仕掛けられなかった。

 井上の今後はグッドマンやアフマダリエフとの指名試合になるのだろう。1980年代のミドル級3団体王者のハグラーがレナード、デュラン、ハーンズらと戦ったように、指名試合で強い相手と戦い続けてほしい。

 中谷の名前が挙がってきたのも楽しみだ。今は2人の間に力の差があるが、中谷は伸び盛りで試合をするたびに強くなっている。バンタム級の4団体王座を統一して文句なしにスーバーバンタム級に上がってくればいいし、体重がきつくなって上がることもある。早くてもあと1年はかかるだろうが、タイミングがあえば日本で一番の好カードになる。(帝拳ジム代表、元WBC世界スーパーライト級王者)

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