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尚弥 鬼のボディー攻めで現役最多の世界戦23勝目 「あれがあったから」人生初ダウンを糧にまた成長

スポニチアネックス / 2024年9月4日 5時2分

<ダブル世界戦 井上尚弥・ドヘニー>6R、左でボディーを叩く井上(撮影・長久保 豊)

 ◇4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ 統一王者 井上尚弥 TKO7回16秒 元IBf王者 TJ・ドヘニー(2024年9月3日 東京・有明アリーナ)

 世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(31=大橋)が、挑戦者でWBO世界同級2位のTJ・ドヘニー(37=アイルランド)を7回16秒TKOで下し、2度目の4団体王座防衛を成功させた。圧倒的優位予想の中、前日計量から11キロ増量した相手にほとんど何もさせず、最後はダメージが蓄積した挑戦者が腰を痛め試合終了。この勝利で自身の持つ日本人世界戦連続KO記録を9に更新。世界戦通算勝利数は現役世界最多、日本人単独最多の23勝となった。

 7回、コーナーで尚弥の連打を浴びたドヘニーが突如腰を押さえ苦悶(くもん)の表情を浮かべた。足を引きずる様子を見て、続行不可能と判断したレフェリーが試合をストップ。予想外の結末にも、王者は表情を変えず「内容、結果として満足するものではなかったが、こういう試合もある。次に期待してほしい」と声援に応えた。

 あっけない幕切れの裏には、破壊力抜群のボディーブローがあった。2人の呼吸音が聞こえるほどの静かな立ち上がり。前戦の反省を生かすように慎重に試合を進めると、3回にはコーナーで上下に強烈なパンチを浴びせるなど何度もロープを背負わせた。前日から体重を11キロ戻し66・1キロでリングに上がったドヘニーとの差は3・4キロ。体格で勝る相手を確実に追い詰め、最後は腰もメンタルも粉砕した。

 5月6日のルイス・ネリ(メキシコ)戦は東京ドームで4万人超の観客を沸かせたが、1回にボクシング人生初のダウンを喫した。試合後、座間市内の自宅で弟の拓真らを招いた際には「倒れ方がダサかった」と自虐的に振り返った。笑い話にしたものの燃えるものがあった。「あれがあったからボクシングへの向き合い方も変わった」。屈辱を成長につなげ「ボクシングは簡単なものではない。今回は慎重に入って12ラウンド通して組み立てること」をテーマにしていたことを明かした。

 今年1月、全米ボクシング記者協会(BWAA)による23年年間最優秀選手賞「シュガー・レイ・ロビンソン賞」を日本人で初めて受賞した。6月に授賞式などに出席した本場で知名度の高まりを肌で感じ「またアメリカでやりたい」と21年6月以来の米国での試合を希望。この日、米興行大手トップランクのボブ・アラムCEOは「来年には米ラスベガスで大きな大きなイベントを開催したい」とビッグマッチの開催を予告した。

 次戦は12月に国内で指名挑戦者のサム・グッドマン(オーストラリア)を迎え撃つことが有力。さらにWBC世界バンタム級王者・中谷潤人(M・T)と対戦の可能性も浮上している。「簡単な試合にならない」と位置づけた一戦を難なく突破。相手が誰であれ最強を証明し続ける。(伊東 慶久)

【試合後の尚弥と一問一答】

 ――試合を振り返って。

 「内容的にはこれからかなというところだった。理想としていた終わり方ではなかったので、中途半端な終わり方になってしまった。セコンドの指示通り丁寧に戦うとイメージしてやった」

 ――ドヘニーの11キロ増は感じた?

 「多少は感じたけど、そんなにびっくりするほどではなかった」

 ――どこでギアを上げようとした?

 「中盤の6、7回ぐらいから。12回を通して組み立てようかなと。後半見せ場をつくろうと思っていた」

 ――3、4回は判定が割れているが、どんな戦い方だった?

 「出来が悪いとは思っていない。どう突破口を開いていこうか考えていた。皆さんが思っていた結果とは違ったけど、自分の中でそんなに気にはしていない」

 ――今までで一番重い相手と戦って、フェザー級とかその上でも戦えると思えた?

 「フェザー級の上も?それは言い過ぎ(笑い)。ただ、これから体をつくっていって視野に入れることはできるのかなと。手応えは十分にありましたね」

 ▽尚弥―ドヘニーVTR 尚弥が消化不良ながら危なげなく勝利。1回から慎重な展開が続く中、ガードを固める相手にパンチを浴びせた。足を使ってボディーブローを交え、主導権を徐々に握る。ペースを上げると思われた7回に攻め出たところ、ドヘニーが腰周辺を押さえて試合続行が不可能となった。ドヘニーは巧みな防御を見せたが、挑戦者として手数が少なかった。

 ◇井上 尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日生まれ、神奈川県座間市出身の31歳。新磯高(現・相模原弥栄高)で高校7冠などアマ81戦75勝(48KO・RSC)6敗。12年10月プロデビュー。14年4月に6戦目でWBC世界ライトフライ級王座を獲得。18年5月、WBA世界バンタム級王者となり3階級制覇。22年12月にWBO王座を獲得してバンタム級初の4団体王座統一。23年にはスーパーバンタム級に転級し、同12月に史上2人目の2階級4団体統一を達成。身長1メートル65、リーチ1メートル71の右ボクサーファイター。

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