阪神・佐藤輝 虎史上初「新人から4年連続100安打＆2桁本塁打」 貴重な犠飛で3連勝貢献

＜神・中＞3回1死満塁、右犠飛を放つ阪神・佐藤輝（撮影・北條　貴史）

　◇セ・リーグ　阪神2ー1中日（2024年9月5日　甲子園）

　阪神は5日、中日戦（甲子園）に2―1で勝利し、9月初の3連勝で8月13日以来の貯金6とした。佐藤輝明内野手（25）が2回1死から中前打を放ち、新人から4年連続シーズン100安打に到達。既に11本塁打を放っており、「新人から4年連続の2桁本塁打＆100安打以上」は球団初の快挙だ。3回には右犠飛も記録した和製大砲の奮闘でチームは今季、甲子園での中日戦は無傷の10連勝（1分け）。順位はリーグ3位のままながら広島と入れ替わった首位・巨人とは3ゲーム差に接近した。

　佐藤輝はパワーだけの男ではない。ヒットも多く積み重ねてきた。2回、先発・大野の144キロを捉えて中前打を放った。5月半ばから約3週間の2軍生活がありながら、100安打に到達した。

　「しっかり振りにいけたのでよかった。周りの方に支えてもらいながら、とりあえずよかったです」

　既にマークしている11本塁打をセットにした「新人から4年連続の2桁本塁打＆100安打以上」は球団初の快挙だ。長いプロ野球の歴史でも18人しか成し遂げていない。近本、大山、森下に続いて節目の安打数にたどり付き、同一年にドラフト最上位選手4人が100安打以上を記録するのも球団初となった。

　9月初の3連勝にも貢献した。3回、森下の先制打の後、なおも1死満塁で右犠飛。この1点が効いて、1点差逃げ切り勝利をもたらした。強い浜風に押し戻されてアーチが幻になったため、試合後は「その話（風）をしないで」と冗談めかしたものの、果たした役割は大きかった。

　人並み外れたパワーとアバウトさが潜む守備で、豪快なイメージが先行する。しかし、食生活は生真面目そのものだ。球団の栄養士・吉谷佳代さんは「お手本のような食事の取り方をする」と称える。日々のクラブハウスでの食事、キャンプ中やビジターの食事会場で皿に盛られた料理は、いつも栄養バランスが抜群だという。

　本人はさも当然とばかりにこう語る。

　「そんなに細かい知識があるわけではないけど高校時代に勉強したので。好き嫌いはないし、いろんな物を作ってもらっているので、できるだけ品数多く食べるように考えていますね」

　魚も野菜も分け隔てなく口に入れ、作り手を思って残さず食べる。肉中心の好きなものを食べるタイプとは対極にある。規律ある食生活を送るからこそ、入団から大きなケガをなく、安打と本塁打を重ねてきた。全ては勝利に導くためだ。

　「本当に最後までどうなるかわからない。目の前の試合をしっかり勝って、積み重ねていければ」

　広島と入れ替わって首位に立った巨人と3ゲーム差。残り19試合。誰ひとりとして連覇への望みを捨てていない。　（倉世古　洋平）

　〇…佐藤輝（神）が阪神では吉田義男の8年、近本の6年、後藤次男の5年、中野の4年に次ぎ5人目の新人から4年連続100安打。4年連続の2桁本塁打も達成しているが、入団1年目から4年連続の100安打＆10本塁打は、張本勲（日、巨）の20年を筆頭に史上18人目（左打者5人目）で球団では初めて。