楽天・早川 自身初2桁10勝目！勝率5割復帰、CS進出へ3位・ロッテと2.5差に

＜ロ・楽＞7回、山口を空振り三振に打ち取り吠える早川（撮影・篠原岳夫）

　◇パ・リーグ　楽天2―1ロッテ（2024年9月6日　ZOZOマリン）

　楽天の早川隆久投手（26）が6日、ロッテ戦に先発して8回2/3を4安打1失点で自身初、球団の左腕としても初となる2桁10勝目をマークした。立ち上がりから球威、制球ともに抜群で、木更津総合（千葉）時代から慣れ親しんだZOZOマリンで躍動。4位のチームはCS進出を争う3位・ロッテとの正念場の4連戦を1勝1敗として勝率5割に復帰し、ゲーム差を2・5に縮めた。

　試合前のブルペン投球中だった。中学時代に聴き慣れた曲が耳に届く。氣志團のヒット曲「ワンナイトカーニバル」。同バンドが結成された木更津で高校時代までを過ごした早川は「テンションが上がった」と振り返る。

　偉大なバンドのおかげで“アゲアゲ”で臨んだ登板。今季2度目の完封まであとアウト1つの快投だった。9回2死一塁からソトに左中間へ適時二塁打を許して降板。「悔しい（思い）がちょっと強い」と言うが、4年目で初の10勝到達だ。創設20年目の球団で初の左腕の2桁勝利。球団史に名を刻んだが「うれしいけどあくまで通過点」と冷静だった。

　地元の千葉にあるZOZOマリンは2年ぶりの登板。ナイターはプロ入り後は初だった。木更津総合時代の16年に春夏連続の甲子園出場を決めてナインから胴上げされた思い出の球場。ロッテの応援も含め何度も訪れて特有の海風も熟知しており、最速148キロの直球に「あえて風をうまく利用して生かせた」と全体の51％変化球を織り交ぜた。特にカーブ、スライダーは「風に合わせて（元々の）数値以上に動かせた」と胸を張る。8回2/3を4安打1失点。規定投球回に達して防御率2・19はリーグ2位で、勝利数、勝率、奪三振も含め「投手4冠」も狙える位置につける。

　青春の一ページでもある氣志團の来場日と登板日が偶然にも重なった早川は「木更津は高校時代を過ごした親しみのある街。基盤をつくってもらった」と改めて故郷に感謝。今江監督は「10勝できる選手だと思って開幕投手もお願いした」と称え「まだ全然、エースとは言えない」とさらなる成長に期待する。

　「CSに向け、もう一段階引き締めたい」と早川。3位・ロッテとの勝負の4連戦の2戦目を制して2・5ゲーム差。逆転CS進出へ。試合後のベンチはお祭り騒ぎだったが「ワンナイトカーニバル」では終わらせない。（神田　佑）

　≪早川　4年目で初2桁≫早川（楽）が今季10勝目、自身初の2桁勝利をマークした。楽天の2桁勝利は則本の8度を筆頭に9人目24度目。左腕では初めてで、11年塩見貴洋、19年辛島、21年に早川自身が記録した9勝を抜く最多勝利となった。なお、球団のシーズン最多勝利は13年田中将の24勝となっている。