小田凱人 金メダルで「何かがきっと変わってくれると信じて…」車いすテニス、パラの未来を背負った18歳
スポニチアネックス / 2024年9月8日 1時49分
◇パリ・パラリンピック第11日 車いすテニス(2024年9月7日 ローランギャロス)
車いすテニス男子シングルス決勝で世界ランキング2位の小田凱人(18=東海理化)が世界1位のアルフィー・ヒューエット(26=英国)に6―2、4―6、7―5で勝利して金メダルを獲得した。三木拓也(35=トヨタ自動車)とのペアで銀メダルを獲得したダブルスに続く今大会2度目の表彰台。キャリアで五輪かパラと全4大大会を制する生涯ゴールデンスラムへ、残すは全米のみとなった。
会場は2連覇中の全仏と同じローランギャロス。相性抜群の舞台で過去7勝8敗だった宿敵ヒューエットを破った。
第3セット、3―5から4セット連取でつかんだ金メダル。歓喜の瞬間は赤土に倒れ込みガッツポーズ。車いすの両輪をヒューエットに拾ってもらい、支え合いながら熱い抱擁を交わした。
運命のパリでの金メダルを首にかけられると笑顔がはじけた。そしてテレビ解説を務め、前回東京パラで金メダルだった国枝慎吾氏がコート上でインタビュー。そこで今回の金メダルの意味を問われると「もちろん金メダルを目指してきましたが、そこが目的じゃなくて、僕は何かを変えに来たつもりでいます。今回の試合で何かがきっと変わってくれると信じて、それだけは自信を持ってやって来ました。僕のプレーを見て、テニスを始めてくれる子もいるかもしれないですし、車いすテニスといえばっていうのも変わってくるかもしれないですし…こっからその旅は続いていく」と熱い思いを語った。
コート上で行われたインタビューでは開口一番、瞳を潤ませながら「ヤバい…格好良すぎる俺」といつもの“小田節”。「もうマッチポイントから相手がドロップショットをミスって、ああもうこれ勝てると思って…。でもそれまでは、負けると思っていました、正直。試合前は負ける気なかったけど、負けると思っていました」と完全に流れを失った場面を素直に振り返りながら涙を見せ、「俺は今日勝ったことで確定させたことがある。俺はこのために生まれてきた!この金メダルを獲るために生まれてきました俺は」と喜びを爆発させ、テレビカメラに口づけをした。
パリは名前の由来となった凱旋門がある。今大会の金メダルを「運命」と捉えてきたが、初のパラリンピックは想像と違った。4大大会よりも報道陣が少なく、準々決勝まではテレビ中継もなし。SNSで放送を熱望し「これが車いすテニスの現状。僕はそれを変えに来ている」と魅せるプレーにもこだわった。準決勝とダブルス決勝は急きょ放送が決定。決勝は満員の観衆で埋まり、自らの力で理想の舞台をつくった。
◇小田 凱人(おだ・ときと)2006年(平18)5月8日生まれ、愛知県一宮市出身の18歳。9歳の時に左股関節に骨肉腫が見つかり、サッカーから車いすテニスに転向。20年に18歳以下の世界一決定戦「世界ジュニアマスターズ」に14歳で出場してシングルスとダブルスで優勝した。22年4月28日に車いすテニス国内最年少の15歳11カ月20日でプロ転向。4大大会デビューとなった22年6月の全仏オープンで4強入り。4大大会は全米以外の3大会を制し、4度の優勝を果たしている。
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