鳥越裕介氏 ソフトバンクは「周東の出塁」「モイネロはえぐい」など役割がはまった
スポニチアネックス / 2024年9月10日 6時3分
【鳥越裕介 かぼす論】ソフトバンクが4年ぶりの優勝に近づいている。要因はさまざまだろうが、シーズンに入る前に役割をはっきりさせたのがよかった。選手たちは自分の歩くべき方角がそれぞれ、決まった。
役割がはまった代表例は「1番・周東」だろう。“出塁”という仕事をすると必ずと言っていいほど点が入った。グラウンドだけでなく、パ・リーグもかき回していたと思う。柳田、山川、近藤のクリーンアップは十分過ぎるほど強力だが、攻撃が周東から始まることでマークがより分散する効果もあった。
近藤の5番はいろいろな考え方があるけど、3番・柳田とのバランスはよかった。ケガの柳田に代わり、3番に入った栗原もうまく調子が上がってきたタイミングで代わりに3番に入った。小久保監督が選手にしっかりと役割を与えたからこそ、選手も結果を出すことに集中できたのだろう。4番・山川は不振にあえいだ時期も長かったが、そこに必ずと言っていいほど、フォローする人間も出てきた。今宮に甲斐や中村晃が危機感を覚え、献身的なプレーでチームを刺激していたことも大きかったと思う。
小久保監督は昨年まで2シーズン、2軍監督を務めた。若い選手を見てきたこともプラスになっている。スタートは支配下登録選手62人で迎え、8つできた支配下枠へ競争が生まれた。最初の3人(開幕前に支配下登録された川村、緒方、仲田)がキャンプから非常にいいものを出し、いろんな人をあおった。
一方、チームの土台は一朝一夕でできるものではないのも事実だ。今季、途中から1軍昇格して結果を残した正木は昨年までの体制で開幕スタメンなど、チャンスを与えられていた。2年目で先発に転向した大津も昨季はリリーフで登板を積んでいる。そういう経験値が、肥やしになった。2軍からやってきたことと、昨季からのものが融合し、全てがうまくまわっている。
スタートダッシュとなった4、5月で“ホークス強し”を植えつけることができた。“周東の出塁”や“モイネロはえぐい”といった負の印象を与えることで、戦いが非常に楽になった。オリックス、西武がここまで成績が落ちたのは正直、想定外だったが、それもまた、独走の追い風となった。今シーズンのペナントレースは明らかにホークスに風が吹いている。 (野球解説者)
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