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槙原寛己氏 巨人・阿部監督はV見据えた“勝負手” 57球で菅野代えた

スポニチアネックス / 2024年9月11日 5時31分

<広・巨>阿部監督はファンの歓声に応えVサイン(撮影・西川祐介)

 ◇セ・リーグ 巨人6―1広島(2024年9月10日 マツダ)

 【槙原寛己 視点】腹の据わった「勝負手」だった。巨人・阿部監督は中8日で先発の菅野を5回57球で交代させた。広島打線にしてみれば、それまで手も足も出なかっただけに「ラッキー」との思いもあったはず。指揮官はそんなリスクも頭に入れながら、「次の次」を見据えて勇気を持って手を打った。21日の広島戦。再び敵地マツダで、ビジター10連勝の右腕が登板する可能性が出てきた。

 それだけの信頼感を取り戻した菅野も見事だ。昨季はわずか4勝止まり。今季はこの日で14勝目で、ほぼ完璧な内容だった。初回、2回はわずか8球ずつで3者凡退。直球、変化球とも吸い込まれるようにコーナーに決まっていた。かつて球界に君臨した絶対エース。苦難の末にたどり着いた「力を入れて無理に出力を出そうとしない」という新たな投球スタイルが光る。

 フォームの力感をなくしてリラックスして投げる。力任せに無理に三振を奪わなくても、アウトを取ればいい。シンプルな思考が投球から伝わる。力まず投げることで逆に変化球の切れが増した。特にフォークの精度が上がっている。

 今年10月で35歳。年齢も、新たなスタイルも受け入れた円熟の投球は、実は以前より「凄み」は増している。投手寿命も延びるだろう。(スポニチ本紙評論家)

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