東京五輪2冠・大橋悠依 涙の引退表明 大学院で栄養学勉強 低迷日本競泳陣の「立て直しにも関わりたい」
スポニチアネックス / 2024年9月15日 4時30分
◇国民スポーツ大会 競泳(2024年9月14日 佐賀・SAGAアクア)
競泳女子の東京五輪個人メドレー2冠で、パリ五輪日本代表の大橋悠依(28=イトマン東進)が現役引退を正式に表明した。競技生活の集大成として臨んだ成年女子200メートル個人メドレー決勝で2分12秒03で2位。今後はイトマン東進に所属を残して選手の指導をサポートしながら、栄養学の勉強をするために大学院に進学する意向も明かした。後日引退会見を開く。
苦しいことの方が多かった競技人生のラストレース。大橋はパリ五輪代表の松本に競り負けて2位に終わったが、ゴール後も笑顔を絶やさなかった。「泣かないようにしていました。勝って終わりたかったけど、世界でメダルを獲ってからなかなかレースを心から楽しむことができなかった。今日は楽しむことができた」。取材エリアでは耐えきれずに涙腺が崩壊し「未練は全くない。おなかいっぱい」と笑いながら泣いた。
大学2年で出場した15年日本選手権は200メートル個人メドレーで40人中最下位。引退を考えたが、貧血を克服すると一気にタイムが伸びた。17年世界選手権で銀メダルを獲得。大学時代はボランティアで関わることを考えていた21年東京五輪では日本女子初の夏季五輪2冠を達成した。その後は重圧に苦しみ「何とか、競技を続けた意味を見つけたい」ともがく日々。パリ五輪は目標の決勝に届かなかったが、歩んできた道に後悔はない。「夢のような競泳人生だった」と振り返った。
競泳日本代表はパリ五輪で銀メダル1個に低迷。大橋は今後は大学院に進み栄養学を学ぶ方針を示した上で「日本の競泳界の立て直しにも関わりたい。五輪選手やメダリストを出す強化の一役を担っていけたら」と目標を掲げた。
東京五輪後には社会進出を目指す女性のロールモデルを目指して日本競泳女子初のプロスイマーに転向。プール内外で残した功績は計り知れない。シンデレラストーリーを駆け上がった現役の終わりは、第二の人生の幕開けでもある。 (木本 新也)
【大橋に聞く】
――競技人生を振り返って。
「滋賀の田舎にいた自分の才能を見つけてもらって、五輪で金メダルという夢にも思ってなかったことまで体験させてもらえた」
――最後のレースで心がけたことは。
「この何十年で自分が得てきた技術や、レースに臨むまでの準備だったりを、何一つ怠ることなく、ベストな状態で迎えることを心がけてきました」
――タッチした瞬間の気持ちは?
「信歩(松本)速いな、というのと、自分も頑張ったと思いました」
――印象に残っているレースは?
「難しいですね。心の底から楽しかったと思えるのは(17年世界選手権)ブダペストの銀メダルのレース。ワクワクしたし、ああいう舞台で活躍する楽しさを初めて知ったので」
◇大橋 悠依(おおはし・ゆい)1995年(平7)10月18日生まれ、滋賀県出身の28歳。草津東高から東洋大に進学し、平井コーチに師事。世界選手権は17年に200メートル個人メドレーで銀、19年に400メートル個人メドレーで銅を獲得した。21年東京五輪で女子個人メドレー2冠を達成。地元・彦根市の人気キャラクター「ひこにゃん」を愛する。陸上の桐生祥秀と同郷同い年で、中学時代から顔見知り。身長1メートル74。血液型B。
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