興味があった阪神・大竹の速球 最速140キロでも安打許さず
スポニチアネックス / 2024年9月17日 8時3分
◇セ・リーグ 阪神3―0ヤクルト(2024年9月16日 甲子園)
【畑野理之の談々畑】阪神・大竹耕太郎の球速に注目した。甲子園球場大型ビジョンに映るスピード表示に目を凝らし、6回までの打者26人、全104球をチェックした。
といっても興味があったのは遅い方ではなく、速い方。何球かあった140キロが、この日の最速だった。他の投手と比較しても決して速い方ではない。いや、むしろ遅い方だ。
それでも大竹はヤクルト打線を直球で押し込んでいた。初回1死一、二塁で4番・村上宗隆に内角ストレートで追い込み、最後も140キロで空振り三振。3回1死一塁でもカウント1―2から4球目に直球(ファウル)、さらに直球(ボール)を続けて、6球目のチェンジアップでタイミングを外した(二ゴロ)。
大竹の投球スタイルでは、どうしてもスローボールがクローズアップされる。6回先頭の増田珠への初球チェンジアップが84キロで左飛。2死からの中村悠平への初球チェンジアップが73キロ(見逃し)で、この日の最遅だ。ゆ~っくりと山なりで届く軌道で強打者をアウトにするのだから目立つのは当然。それでも力のある直球が基本にあるからこそ、球速差が有効なのだと思う。
阪神、巨人、ヤクルトでプレーした広澤克実氏に「対戦した投手で球が速かったのは?」と聞くと、数人の名前を挙げた後に「意外かもしれないけど、中日の山本昌は速かった。彼は速球派なんだよ」と答える。
阪神OBの赤星憲広氏と関本賢太郎氏も「山本昌さんはスピードガンでは130キロ台だけど打席での体感が全然違う」と口をそろえる。ちょうど18年前の9月16日にナゴヤドーム(当時)で山本昌にノーヒットノーランをやられた時も「1回表に凡打してベンチに戻ってきた時に“今日の真っすぐは速いわ”」と2人で話していたという。150や155の数字ではなく、打席で感じる体感をスピードの物差しにする。
初回の長岡秀樹の中前打はカットボール、2回の中村の中前打はツーシーム、4回の山田哲人の左前打はチェンジアップ…。許した3安打は全て変化球で、大竹の“速球”はこの日、一本もヒットにされなかった。
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