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「SHOGUN」エミー賞18冠 快挙の背景に本当の日本らしさ追求したこわだりと情熱 時代背景も追い風

スポニチアネックス / 2024年9月17日 5時23分

「第76回エミー賞」で史上最多18冠を獲得した「SHOGUN 将軍」 (C)Courtesy of FX Networks

 米テレビ界のアカデミー賞と言われる最高の栄誉「第76回エミー賞」の授賞式が15日(日本時間16日)、ロサンゼルスで行われ、真田広之(63)が主演・プロデュースした「SHOGUN 将軍」(日本ではディズニープラスで配信)がドラマシリーズ部門の作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞の主要部門を独占した。真田は日本人として初めて主演男優賞を受賞。今月8日に発表された技術・制作部門を合わせ史上最多の18冠という歴史的快挙を達成した。

【快挙の背景】 プロデューサーの真田が目指したのは、日本人が見ても違和感のない「本物の時代劇」。これまで日本を描いた海外の時代劇には「フジヤマ」や「ゲイシャ」といった過剰な表現が散見されていた。今作はそれを払拭すべく奔走してきた真田の集大成と言える。

 真田がハリウッドに進出した2003年の映画「ラストサムライ」では「欧米人が武士に抱く固定観念に新しい活路を開きたい」と、不自然な日本の描写を正すために編集作業にも加わった。以降、出演作で日本が描かれる際は積極的に意見していった。

 今作では「なぜハリウッドが正しい日本を描けなかったのか」を制作陣と話し合い、改善リストを作成した。自ら美術、衣装、メーク、所作など、時代劇のあらゆる分野のスペシャリストを日本から招集。小道具の細かい部分にまでこだわるなど、「本当の日本らしさ」を追求した。

 物語は日本に漂着した英国人航海士の視点から描かれるため、時代劇の常識は守りつつ、外国人が好む「切腹」や「忍び」といった従来の日本的要素も随所に登場。これにハリウッドのスケール感ある映像技術が加わった。制作費は10話で計100億円は下らないとされ、巨費を投じてカナダに城の内部や村のセットを建設して撮影。迫力ある質の高い時代劇に仕上がった。

 権力闘争を軸にした物語は海外でも伝わりやすく、世界的にヒット。時代劇の面白さを真田が改めて世界に知らしめた形だ。

 時代背景もヒットの追い風となった。撮影が行われた2021年から22年は、コロナ禍を理由に撮影を中止せざるを得ない作品が続出した。同時期にSHOGUNと同じような100億円規模で撮影された大作のドラマはほかになく、「ライバル作品がないため、現地の下馬評で総なめ間違いなしと言われていた」と話す映画関係者もいる。また、映画館が閉鎖された時期の「巣ごもり需要」の高まりから、動画配信サービスが世界的に拡大。英語作品を好んでいた米国人が、海外の作品を字幕で観賞するスタイルも定着した。

 20年には韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が、非英語圏の作品として初めて米アカデミー賞で作品賞を受賞。これも韓国語作品で、言語や人種による壁はなく、「作品そのものが面白ければ評価される」ということを示した。せりふの7割を日本語が占める今作も、そうした本物志向の時代の流れにマッチした作品となった。

 ▽SHOGUN 将軍 「関ケ原の戦い」前夜が舞台の歴史スペクタクルドラマ。米ディズニー傘下のFX制作。有力大名に追い詰められて窮地に立つ、徳川家康がモデルの武将吉井虎永(真田)が、生き残りを懸けて策略を巡らせる。伊豆に漂着し、虎永の家臣になる英国人航海士、按針の視点を通じて武家社会の風習が描かれるほか、通詞の戸田鞠子(サワイ)らが絡む複雑な人間ドラマが繰り広げられる。2月に配信が開始されると、6日間で900万回視聴された。日本ではディズニープラスで配信中。

 ▽エミー賞 米テレビ芸術科学アカデミーが主催し、配信を含むテレビ分野のうち、ドラマやバラエティー番組などの優れた業績を称える賞。1949年に第1回授賞式が開かれた。受賞者には背中に翼の生えた女性を表した金色の「エミー像」が贈られる。名称は、かつてテレビカメラの部品として広く使われ、画質の向上に大きく貢献した撮像管の一種の愛称「イミー」に由来。映画のアカデミー賞、音楽のグラミー賞、演劇のトニー賞と並ぶ米4大エンターテインメント賞。

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