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寛一郎、映画「シサム」主演に「アイヌの文化を映画として残せることにすごく価値がある」

スポニチアネックス / 2024年9月21日 7時3分

インタビューに応じた寛一郎

 【インタビュー】俳優の寛一郎(28)が映画「シサム」(13日公開、ムの正式表記は小文字)で主演を務めている。北海道の大自然を舞台に、江戸時代前期のアイヌと和人の対立を描いた作品。寛一郎は、武家の若者がアイヌの人々との交流を通じて自分の価値観を見つめ直していく姿を繊細に演じている。「今の時代にリンクしている部分がある」と、作品をアピールした。(望月 清香)

 町全体がアイヌと和人が共生してきたという認識を持つ北海道・白糠町で撮影。専門家の監修の下、当時のアイヌの生活を完全再現した。伝統的な住居「チセ」やサケ漁、ジェスチャーや楽器…。アイヌの文化が瑞々しく躍動感たっぷりに描かれている。寛一郎は「自然とその世界に入り込めた」と振り返った。撮影の中では伝統的な汁料理「鮭のオハウ」を実食。「素材の味と塩味だけ。自然の味でさっぱりしていておいしかったです」と、文化を肌で感じた。

 アイヌは全てに「カムイ」(神)が宿るという考えの下、独自の文化を築いてきた。「アイヌは自然との共存や人との共存をものすごく大事にしている人たち。それは人間の普遍的なテーマだと思う。見習わなければいけないし、そうでありたいとものすごく感じました」。役柄同様、寛一郎自身もアイヌ文化に共鳴していった。

 寛一郎にはアイヌに興味を持つ原体験がある。小学生の時、通っていた学習塾の課外活動の一環として、アイヌの集落で1~2週間生活をしたという。「川でよく遊びました。7、8歳だったので深いことは分からないですけど、消費者ではなく自然との循環の仲で共存している感覚がありました。縁を感じてオファーを受けました」と語った。

 「アイヌの文化はもっと深いですが、アイヌの文化を知るきっかけになる作品になれたかなと思います。アイヌの文化が消えゆく中で、エンターテインメントとして映画として残せることに凄く価値があると思います。役者としてこのような作品に出られたことは喜びがあります」。

 今作で描かれている民族や文化の違いによる分断は現代に通じるテーマでもある。今の社会だからこそ見てほしい作品だ。「僕らが考え続けないといけない問題。考えるためには知ることが必要だと思います」と、力強い眼差しで語った。

 今作だけでなく、禁じられた熊狩りに挑む若者を描いた映画「プロミスト・ランド」(6月29日公開)など、社会性の強い作品に多く出演している寛一郎。その背景には探求心がある。「自分が知りたいと思える作品に参加できたらと思っています」と語る。

 父は佐藤浩市で祖父は三國連太郎。プレッシャーを感じることもあったというが、情熱の矛先が明確になると気持ちに変化が生まれた。「自分が何者かはまだ分かっていないですけど、自分の思いが明瞭化されていくと(家族と)比較されることが重荷ではなくなった。何に興味があるのか、なぜ興味があるのかを知ることが大切。自分が知りたいことを追求してそれを作品にできれば」。そう語る瞳には、学ぶことの楽しさと役者としての誇りが感じられた。

 「色々なことを勉強しつつも童心がある人間でいたい。頭が固くなってしまうと思い切りよくいけなくなってしまう。勉強をして、なおかつそこからはみ出す童心を持ち合わせた人間になりたいです」。今年のうちにやりたいことを聞くと、「海外にふらーっと1人で行きたいですね」と自然体に答えた。どん欲に遊び、学び、心を豊かに耕していく。

◇寛一郎(かんいちろう) 1996年(平8)8月16日生まれ、東京都出身の28歳。2017年、映画「心が叫びたがってるんだ。」で俳優デビュー。阪本順治監督の「せかいのおきく」(23年)や北野武監督の「首」(23年)などの話題作に次々と出演し、著名な映画監督からの信頼も厚い。22年にNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で公暁役を演じるなど、ドラマ出演も多数。身長1メートル82。

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