1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. 野球

宇津木妙子さん 巨人V祝福 阿部野球の神髄とは…ソフトボールとの共通点「1点を絞り出す」

スポニチアネックス / 2024年9月29日 5時32分

3月26日の「巨人軍激励会」で阿部監督と記念撮影する宇津木妙子さん(宇津木さん提供)

 ◇巨人4年ぶり48度目リーグ優勝

 就任1年目の阿部監督と親交を温めてきたのが、元ソフトボール女子日本代表監督で、現在は世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の理事を務める宇津木妙子さん(71)だ。巨人戦を観戦した日は必ず感想を送り、阿部監督が返信するやりとりは、シーズンを通じて続いた。ソフトボール界の名将がリーグ優勝を祝福し、スポニチに特別寄稿した。 (取材・構成=首藤 昌史)

 阿部監督、優勝おめでとうございます。キャンプでお会いしたときから「選手に深入りすると腹が立つことがあるので、常に冷静に」と誓いを立てていましたが、阿部野球がチームに浸透しつつあることが証明されたように思います。

 日本代表監督をしていた00年シドニー五輪、当時中大の学生だった阿部さんは野球代表だったようですが、記憶に残っていません。私も勝負を懸けてましたから。最初に認識したのは、08年北京五輪です。ソフトボールの解説者として現地入りしていた私は、時間を縫っては野球の応援にも行きました。正捕手だった阿部さん、結果が出ない中(4位)でしんどい思いをしているだろうな、と想像していました。

 連絡先を交換したのは、今年の2月25日。ビックカメラ高崎の沖縄合宿入りに合わせてグラウンドにお邪魔しました。ごあいさつした際から、非常に礼儀正しく接していただきました。それからは試合を見るたびに感想を送ってきました。

 感心することに、どんなにひどい負け試合でも、感謝の言葉とともに必ず返信が返ってきます。ソフトボールの、それも女性指導者が勝手に送りつけてるのにね。つまり、それだけ勝ちたい、何からでも学びたい、という姿勢なのだと思いました。

 私の感じた阿部野球は、ソフトボールと共通点があります。それは1点を絞り出す、ということ。長打で大量点を取る試合は楽ですが、そればかりは続かない。勝ち続けるためには、1点をどうやって取るか。犠打の意識は勝利に対する執念の裏返しであり、4年ぶりのリーグ制覇への執念だったと思います。

 そんな「スモールベースボール」の中で驚いたのは9月11日の広島戦でした。0―2の9回、連続四球で無死一、二塁の場面で坂本選手に犠打のサインが出ると思っていました。ところが、強攻で見事な左前打。そこからあれよあれよと9得点で逆転勝ちし、優勝へ大きく前進しました。「坂本にはバントのサインを出さない」と宣言していたようですが、ベテランの集中力を信じただけでなく、広島・栗林投手の心理状態まで見抜いた、見事な采配だったと思います。

 難しい時代です。選手への指導に悩んでいる監督は、プロ野球の世界にも多いと感じます。その中で、阿部監督は若手選手にチャンスを与え、結果が出なければ2軍に落とし、またチャンスを与えてきました。

 これが選手へのメッセージだったと思います。そのメッセージを選手が理解し始めたことが、結果につながったのではないでしょうか。スローガンの「新風」を、プロ野球界に送り込んだと捉えることもできると思います。

 ただし、まだ道は半ば。CS、日本シリーズと続く道のりで、鍵を握っているのは坂本、丸、岡本和ら前回20年の優勝を知る中心選手だと私は見ています。長野選手のベンチでの鼓舞、右肘の使い方が素晴らしい吉川選手もいい。勝負どころで輝いて、チームに勢いを与えられるか。そこまで見越して起用してきたとすれば、たいしたものだと思いますね。お手並みを拝見したいと思います。

 そしてシーズンが終わったら、ゆっくり食事でもしながら勝負談議をしてみたいですね。ごちそうします。(元ソフトボール女子日本代表監督)

 ≪「スリーバントしてでも」…野球観打ち明ける≫シーズン中、幾度となく繰り返されたLINEでのやりとり。阪神との開幕3連戦の3戦目の3月31日、0―0の6回無死一塁で6番・大城卓が2球連続でバントに失敗、強攻策に切り替えてチャンスメークに失敗した場面があった。結果的に就任後初黒星を喫した阿部監督は「スリーバントしてでも」と基本的な考えを打ち明けている。また、9月11日の広島戦の逆転勝利では、喜びではなく試合の怖さを心に刻み込むようなやりとりとなっているのが印象的だ。

 ◇宇津木 妙子(うつぎ・たえこ)1953年(昭28)4月6日生まれ、埼玉県川島町出身の71歳。現役時代は三塁手。85年に現役引退後、日立高崎(現ビックカメラ高崎)の監督に就任。96年アトランタ五輪で代表コーチ。97年に監督となり00年シドニー銀、04年アテネ銅に導いた。05年、日本人女性初の国際ソフトボール連盟(当時)殿堂入り。現在はビックカメラ高崎のシニアアドバイザー、東京国際大総監督を務めながら、日本協会副会長、WBSC理事として普及活動に取り組んでいる。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください