死去の山藤章二さん 物事の本質を瞬時に見抜く鋭い人 最後の一言で会を締めくくる凄さ
スポニチアネックス / 2024年10月1日 5時33分
政治家や芸能人の風刺似顔絵で知られるイラストレーターの山藤章二(やまふじ・しょうじ)さんが30日午前、老衰のため東京都で死去した。87歳。東京都出身。葬儀は近親者で行う。喪主は長男大地(だいち)さん。「週刊朝日」の時事漫画連載「山藤章二のブラック・アングル」は2021年12月まで45年続いた。1997年には本紙で阿久悠さんの連載小説「球心蔵(きゅうしんぐら)」のイラストを描いた。
【悼む】 山藤章二さんが逝くなんて考えもしなかった。最後に会ったのはどこかの道端だった。「木村さん、元気でね」と静かに言ってくれたのだった。
思えば、ずっと付き合いが途切れていたが、1974年にスポニチに連載した「軟派にっぽんの100人」の記事が懐かしく思い出される。今は亡き、井上ひさし、石堂淑朗、唐十郎、阿久悠、大西信行、深作欣二、寺山修司、藤倉修一、長部日出雄、小沢昭一、星野哲郎、和田勉、武智鉄二、熊井啓、香川登志緒、佐々木久子らの各氏に加え、黒柳徹子ら20人に5人ずつ人物評を書いてもらい、1枚ずつ山藤さんのイラストをつけてもらう企画だった。これをスポニチ出版局から出版したのが、山藤さんと親しくなった一番のきっかけになった。
この後、山藤さんには週刊朝日の名物企画となった「ブラック・アングル」の仕事が舞い込み、その際「スポニチのギャラよりもはるかに多いから受けた」と言われたことが忘れられない。
しかし、93年から始まった「スポニチ文化芸術大賞」の審査員を第1回から引き受けてもらい、大変世話になった。審査会では、じっと他の人の話を聞いていて、最後に一言だけ語り、それで会を締めくくってしまう凄さがあった。イラスト同様に、物事の本質を瞬時に見抜く目の鋭い人だった。 (スポニチOB 木村 隆)
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