阪神・岡田監督“悟りの境地” 「いらんことをしてもしゃあないから」退任が表面化して以来初の肉声
スポニチアネックス / 2024年10月8日 5時17分
阪神・岡田彰布監督(66)が7日、今季限りでの退任が表面化した3日以降では初めて報道陣に対応し、DeNAを甲子園に迎える12日からのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(S)を突破するための心得を説いた。甲子園球場での練習後に“悟りの境地”を思わせるほど落ち着いた口調。「2年間の集大成」として球団初の2年連続日本シリーズ制覇を見据えた。
岡田監督は「何もないよ」と柔らかい笑みを浮かべ、会見場の席に着いた。監督復帰してからの2年間、そう口にした時ほど丁寧に対応してきた。今季限りでユニホームを脱ぐことが決まった上で臨むCS、その先に待つ日本シリーズを「2年間の集大成やんか。最後のゲームの」と掲げた。言葉は威勢が良くても、口調は優しかった。
横浜でDeNAとのレギュラーシーズン最終戦を迎えた3日に退任が表面化し、4日間は公の場で口をつぐんだ。5日ぶりの肉声。終始穏やかな約9分間は、終わりが分かっていることに起因する「悟りの境地」を思わせた。前日6日には選手、コーチ、関係者への報告も済ませ、球団も去就と来季のフロント入りを発表した。
「俺は横浜で言おうと思ったけど、居残り(甲子園で練習する投手)がおったしな。全員集まるのが昨日(6日)しかなかったから。横浜は(チームに対して)何もしてない」
進退に関する一連の動きが落ち着きつつある心境を「別に何もないよ。そんな。もう別にいらんことをしてもしゃあないから」と説明。残された戦いに目を向けるだけだと、言いたげだった。
12日から慣れ親しんだ甲子園球場で2戦先勝のCSファーストSが始まる。「その日のゲームを勝っていくだけよ」。いまさら新しく求めることもない。「そんなん別に言うてない」。欲張らずにアウトを一つずつ取ること、チーム打撃や四球の重要性、無駄な四球を与えないことなど、勝利に必要なことは2年間で伝え続けてきた。「できんかったら負けるだけや」と腹をくくる。チャンスが限られる短期決戦に必要なことは「一発で仕留めなあかんっていうことやろな」と言った以外は、「普段通り」を強調するのみだった。
巨人に13ゲーム差を逆転されて2位に甘んじた08年も退任を表明してCSに挑み、ファーストSで中日に敗れた。当時とは状況が違い、参考にはならない。2年連続日本シリーズ制覇に挑む今の岡田監督は、とにかく悠然と構える。選手の成長を問われ「成長はしてないよ。成長してたら勝ってるよ」と軽妙に笑う場面もあった。最後の采配へ向け、牙を研いでいるようだった。 (倉世古 洋平)
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