マチャドの走塁 姑息か好走塁か…元NPB審判員記者が解説「知もメジャー級だった」
スポニチアネックス / 2024年10月9日 16時31分
◇ナ・リーグ地区シリーズ第3戦 パドレス6-5ドジャース(2024年10月9日 サンディエゴ)
パドレスのマニー・マチャド内野手(32)の走塁が賛否両論を巻き起こしている。
問題のプレーが起きたのは2回だった。マチャドは先頭で中前打を放ち出塁。次打者・メリルのゴロで二塁に進んだ。その際、内側に進路を変え、内野の芝生付近を走って二塁へ向かったためゴロを捕球した一塁手・フリーマンの二塁への送球がマチャドの肩付近に直撃。悪送球となって無死一、三塁にチャンスを広げた。その後、パドレス打線は猛攻でこの回、6点を奪った。
守備妨害ではなく、「インプレー」とされた判定は正しかったのか。元NPB審判員記者の柳内遼平記者(34)が解説する。
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マチャドの走塁は判定通りインプレー(守備妨害なし)が正しい。野球規則では一塁への守備を除き、送球に対する守備妨害を宣告するためには故意であることが条件。「故意的な要素があったのか」が論点になる。一連の走塁で手を挙げたり、足を不自然に出すような動作はなかった。
だが一塁手が捕球した後、マチャドの走路が遊撃手側にふくらんだ動きはグレーといえる。結果的に送球が当たる原因になった。ただ一塁手は一塁を踏むと、マチャドに対するプレーはフォースプレー→タッチプレーに変わる場面。マチャドは一塁手の動きを確認するために視線を送り、その動きによって遊撃手側に走路がふくらんだとも見える。このように断定できない「グレー」の場合はインプレーと判定するべきだ。現役のNPB審判員も同様の見解を示している。
試合後のマチャドのコメントで驚いた。「ルールはわかっているからね。春キャンプでも練習を積んできた。大事な局面でそれが出た」。つまりマチャドの走塁は故意と判断されない「グレー」を理解した上で、周到に準備し、実行したものだった。
NPBでは選手、指導者は決して規則に詳しくない。ある1軍監督は基本的なルールでさえ、知らずに執拗(しつよう)に抗議をしたことがある。ところがマチャドは深く、深く知っていた。力、技術だけでなく「知」もメジャー級だった。(元NPB審判員、アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)
▼公認野球規則(打者または走者の妨害についての適用規則を抜粋) 6.01(a)(10) 走者が打球を処理しようとしている野手を避けなかったか、あるいは送球を故意に妨げた場合。
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