ポポビッチ監督就任で豪州はどう変わる?元教え子が語る 緻密かつ熱血、敵地で燃える、ロングボール主体
スポニチアネックス / 2024年10月11日 5時2分
日本代表は15日のW杯アジア最終予選C組第4戦でオーストラリアと対戦する。同予選5大会連続で同組に入るライバルは成績低迷を受け、先月下旬には現役時代に広島でもプレーした元同国代表DFのポポビッチ監督(51)が新指揮官に就任。かつて日本が苦しめられた堅守とロングボール主体のスタイルで再建に着手した。横浜や川崎FでDFとして活躍し、同国1部ウェスタン・シドニー時代に指導を受けた田中裕介氏(38)に敵将の素顔を聞いた。 (取材・構成=坂本 寛人)
緻密かつ熱血。田中氏は、ポポビッチ監督を「その両面で素晴らしい監督」と評した。15年に川崎Fからウェスタン・シドニーに加入。最初に驚かされたのがミーティングの長さだった。1時間を超すことも珍しくなく、映像を使いながら対戦相手の情報を叩き込まれた。「相手のスカウティングを徹底的にやる人でした。僕は左サイドバックだったので、対面する相手ウイングの特徴を教えられましたね。こういうふうに守ってくれと」。ピッチ上でも相手を想定した戦術練習に時間が割かれた。
情熱的な面も強く印象に残っている。「ミーティングでも熱い話があり、引きつける何かを持っている人でしたね。頭でっかちだけではなく“気持ちで勝つんだ”ということも話していました」。チームの和を重んじ、遠征後には食事会も開催された。穏やかで選手への愛情を感じさせる人柄だが、一方で戦う姿勢を欠いた選手に対しては容赦なく厳しい言葉を浴びせた。「ボス」と称するにふさわしい威厳だった。
戦術は、サイド攻撃と前線の長身FWを生かしたロングボールが主体。今回のオーストラリア代表もFWデューク(町田)ら空中戦に強い選手をそろえ、田中氏は「当時のウェスタン・シドニーに当てはまる」とみる。さらに際立つのが敵地での強さ。田中氏のデビュー戦となったACLのアウェー鹿島戦は「勝ちにこだわれ」と厳命され、内容よりも結果に直結するプレーで3―1の勝利につなげた。前年14年のACLでは完全アウェーでアルヒラル(サウジアラビア)と決勝第2戦を戦い、アジア王者に導いている。
埼スタでの一戦は既にチケットが完売となった。田中氏は「アウェーに対するファイティングスピリットは相当強い」と警戒する。森保監督とは広島時代のチームメートで、指導者転身後も親交は深いが、もちろん勝負となれば話は別だ。敵将の反骨精神が最大の脅威となる。
◇トニー・ポポビッチ 1973年7月4日生まれ、オーストラリア出身の51歳。現役時代はセンターバックとして活躍し、97~01年に広島に所属。06年W杯ドイツ大会に出場した。現役引退後の08年に指導者に転身し、同国4クラブで監督を務めた。欧州でも指導経験を持つ。
◇田中 裕介(たなか・ゆうすけ)1986年(昭61)4月14日生まれ、東京都八王子市出身の38歳。桐光学園高から05年に横浜に加入。川崎F、C大阪、J2岡山などでプレーし、22年に東京都1部SHIBUYA CITYで現役引退。Jリーグ通算336試合出場12得点。現在は同クラブのチームダイレクター。
《指揮官初陣3発!豪州待望初勝利》 オーストラリアが、待望の初勝利を挙げた。初陣のポポビッチ監督は直前の試合からGKライアン主将を含む先発5人を入れ替え、3バックを採用。ボールを支配しながら前半20分にロングキック1本から初シュートで先制を許したが、ここから逆襲した。前半終了間際に高さを生かしたセットプレーで追いつくと、後半8分には最終ラインの手前からロングシュートで勝ち越した。1分け1敗の出遅れから浮上の足掛かりをつかみ、MFアーバインは「重要なパフォーマンスだ。火曜日の厳しい戦いに向けて前向きになれる」と15日の日本戦を見据えた。
【取材後記】 屈強なオーストラリア代表が復活することになりそうだ。06年W杯ドイツ大会の逆転負け、11年アジア杯決勝の激闘。ロングボールを放り込み、肉弾戦を仕掛ける相手にかつての日本は苦しめられてきた。だが09年6月の敗戦を最後に直近9試合は負けていない。10年代途中からポゼッションサッカーに転換したライバルとの相性は悪くなかった。00年代の代表で活躍したポポビッチ監督のかじ取りは、原点回帰とも言える。初陣の10日中国戦は従来の4バックから3バックに変更した。日本戦は5バック気味に守備を固め、ロングボールを多用する展開が十分に考えられる。ロングボール対策はアジア杯で露呈した森保ジャパンの課題。さらに「解任ブースト」も考えられる。田中氏の言葉は強いオーストラリア復活を予感させた。(坂本 寛人)
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