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俺が負けたら息子と娘は… 矢吹正道が“家族愛”で意地のTKO勝利「負けたら引退と思っていた」

スポニチアネックス / 2024年10月13日 5時2分

TKO勝ちでIBF世界ライトフライ級王者となった矢吹正道(撮影・椎名 航)

 ◇IBF世界ライトフライ級タイトルマッチ IBF2位・矢吹正道 9回1分50秒TKO 王者シベナティ・ノンシンガ(2024年10月12日 愛知県国際展示場)

 元WBC世界ライトフライ級王者でIBF同級2位の矢吹正道が王者シベナティ・ノンシンガを9回1分50秒、TKOで破り世界王座に返り咲いた。8回に最初のダウンを奪い、決着した9回と合わせて計3度も倒す完勝だった。2年7カ月ぶりの世界戦で地力を示し今後はフライ級へ進出するプランを明かした。

 腰にIBFの赤いベルトを巻いた矢吹は、リングに登壇した家族とともに喜びをかみしめた。「負けたら引退と思っていた。これでボクシングを続けられる。また、日常に戻れるのがうれしい」。競技はもはや生活に欠かせない要素だ。

 強豪という触れ込みの王者を圧倒した。序盤からジャブで差し勝ち、ワンツーや、いきなりの右で主導権を握った。王者得意の右オーバーハンドを完璧にブロック、左フックを空転させた。そして8回終盤にワンツーから最初のダウンを奪った。続く9回に連打で2度のダウンを加え、レフェリーストップを呼び込んだ。

 家族の支えで復活した。22年3月に寺地拳四朗(BMB)との直接再戦でWBC王座を失い「ボクシングをやめようと思った」。試合直後でも、やけ酒をあおった。立ち直る力をくれたのは同じ競技に励む長女の夢月(ゆづき)さん(14)、長男の克羽(かつば)さん(11)だ。「子供が頑張っているのに俺のせいで…」。自分がグローブをつるせば子供も競技を離れるかもしれない。2人と一緒に体を動かすうちに前向きになり現役続行を決めた。再起後も苦難は続く。23年5月のスパーリング中に左アキレス腱を断裂。この引退危機も家族らの励ましで乗り越えた。

 ライトフライ級で活動するのは今回が最後という。「世界チャンピオンのまま引退するのも目標の一つ」と引退に含みを持たせた上で、フライ級へ進出する方針を示した。「やるなら(WBO王者)オラスクアガ選手とやりたい。打ち合いになって試合は盛り上がる。この年なのでモチベーションが上がる相手じゃないと」。野望を語る表情は生き生きとしていた。 (原口 公博)

 ▼ノンシンガ 強い方が勝ったということ。矢吹はパワーがあるとは感じなかったが、パンチが見えなかった。いいタイミングでもらってしまった。

 ▽矢吹―ノンシンガVTR 矢吹が攻防両面で圧倒し、9回に勝負を決めた。1回から伸びのある左ジャブで有効打を重ね、中盤以降は右強打も効果的に当てた。ノンシンガの足が止まった8、9回に左右のコンビネーションの連打で畳みかけ、計3度のダウンを奪った。細かな前後のステップで被弾を避ける防御技術と距離感も光った。ノンシンガは消極的なまま、打開策がなかった。

 ◇矢吹 正道(やぶき・まさみち)本名・佐藤正道。1992年(平4)7月9日生まれ、三重県鈴鹿市出身の32歳。中3から本格的に競技を始めアマ戦績は16勝9KO5敗。16年3月にプロデビューし20年7月に日本ライトフライ級王座獲得(防衛1、返上)。21年9月に世界初挑戦で寺地拳四朗(BMB)に10回TKO勝ちしてWBC世界同級王座を獲得。翌22年3月の再戦で陥落。1メートル66の右ボクサーファイター。家族は妻と1男1女。弟の力石政法はスーパーフェザー級で東洋太平洋王座などを獲得。

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